2010年6月9日(本部長通信958)

師範の生活

師範は、着る服や車や贅沢の中に、幸福があるとは、いっさい考えたことはないのです。格好の良さやファッション、見掛けの良さに満足が得られると思いもしないのです。人気のあることや、羽振りを良くして注目を浴びる事など全く眼中にないのです。
青春時代は、実に質素な生き方をしてきたのでした。それでは、お金が無かった訳でもないのです。バブルの時代を過ごしてきたのですからそれなりです。池袋の本部道場に通いながら、ある意味で、汗を流す事に一生懸命でした。
激しい組手をしていました。本部道場での四年の歳月はあっという間でした。大山総裁の下での修行は恐怖心がありましたので、黒帯を取るまでは、地方で修行していました。そうなのです。結構師範は臆病というという事になります。
そこで、一大決意して本部道場で稽古してからは、多くの疑問や、新しいプライオリティーが生まれてきました。そこで学んだ事は、今の人生の礎になっているのです。この期間、全日本大会に何度も出場しました。仕事をしていての出場ですから、初戦突破がやっとでしたが、それでも一生懸命でした。
そこで、勝ち得た最大のプライオリティーは「人生の全て瞬間で決まる」という事でした。全日本大会での試合は半端な内容ではありませんでした。生死をかけた闘いそのものでした。
そこで得た人生の実践哲学は、人生の生きていてのあらゆる現象に直面して、瞬間に判断する事なのです。多くの失った悲しみもありました。絶望感、無力感の中から、瞬時に判断したのです。単に、制約された社会・文化、そして人間社会に対しての内容に流されてはならないということを学んだのでした。
それで、ここ数十年間、師範を見た多くの人は、「一体どうして、酒も飲まず、タバコも吸わず、真面目に生きているのか」と不思議に思っているのです。大概の反応は「ほっとけよ、極真に凝っているだけで、そのうちさめるさ」ということだったのです。
しかし、私にとっては、多くの五里霧中の人生の開拓者として、瞬間を 黙々と通過することだったのです。瞬間において、師範は自分自身に直面してすることに迫られ、そして、逃げることなく、闘ってきたのです。

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