2010年2月17日(本部長通信833)

手塚グループの理念 家族(7)

 家庭環境が良いからといって、ハッピーかというとそんなことはないのです。反対に、いくら家庭環境が悪くても、家がみすぼらしくとも、自分の事情と生活そして生涯のすべての基盤を結び付けていこうとする家庭が良い家庭であると思うのです。そこが思い出の故郷の地という事であり、巣立って独立した後も、すべての生活の動機となるので、私達の生活において幸福を左右するのです。
 そういう意味では、家庭も含めて、学校教育で勉強するという事がなんであるかはっきりしてくるのです。完全な保守主義と思われるかもしれませんが、学校も国のための貴重な中心人物に成り得る人、人材を養成し国に必要な人を育てなければならないという事です。
 学校の位置づけは、訓練という事になるのです。学校は訓練場所であり、実験所みたいなものと私は思うのです。実践ではなく準備段階なのです。種が根から始まって、芽が出て花を咲かせ実を結ぶ段階へと移行するための訓練なのです。
 今の日本の現状を見るにつけ、家庭が心の訓練がされているかというと問題提起せざるを得ないのです。余りにも忙しい余りに家庭をないがしろにしてしまう事が多い現代社会です。親が情緒的なすべての事を伝授せずして何が家庭生活でしょうか。父母が生きたように子供に情緒的に道を示し社会のためにどのように生きるかを提示できなければ話になりません。
 私の場合、早くから自分で独立することを考えていました。無謀にも10代で家を出たのです。異郷の空で感じたのは、誰よりも近い父母がいるし、兄弟がいるし、親戚がいるし、いつも私を意識してくれた友がいるという事を改めて感じたのでした。
 そして、ふたたび故郷に足を踏み入れた時、昔のように迎えてくれ、私に困難な事があれば、その大変な事情に同情し慰労してくれ、さらに、私を喜んで迎えてくれるのです。そんなことが無いとするならば、好きで訪ねていっても、切実に慕っていた当時の心情はなくなり、かえって嘆きの気持ちにしかならないのです。
 自分をいつも迎えてくれる人がいて初めて、心の満足と喜びを感じることができるのでしょう。幸い、私の財産にこれを持ち合わせているのです。