2010年2月1日(本部長通信814)

ヨーロッパ選手権大会 場内の興奮 (13)

 ヨーロッパ選手権大会当日になりました。開会式の前に、ベルギーの人達による、和太鼓の演出です。舞台裏から煙幕が漂い始めました。鎧で身を固めて人が立ち、日本刀をかざす人が動き、着物で幻想的に舞う女性がいてさらに、5つの和太鼓の演奏の始まりです。ヨーロッパの人達が研究に研究を重ねた演出の作品です。
 どのように見ても、演出はk-1の大会以上です。ビッグスクリーンが二つ、まるでパーティーでもするかのように、選手が戦うマットは照明がいくつも付けられて大会を演出します。正面には10メートル以上の大きなポスターが掛けられ、今回師範アランブランド「一番」の商品が空手着からすべての武道具が入口横に並べられ、室内は真っ暗にしての選手を最大限演出する臨場感あふれるのです。
 ヨーロッパ選手権で、選手達にとって、最高峰のメニューが勢ぞろいです。そこで、日本の副会長として紹介されるのです。身が引き締まりました。照明でクローズアップされ、会場全体の観客の注目を集めるのです。この大会の主審は7名、副審は40名程で、新たにアラン先生が考案したレフリー服での登場ですから豪華極まりないのです。
 日本の極真会館は分裂しているのですが、ヨーロッパは一つなのです。その理由は、最大限大会として演出された選手の為の舞台を準備もし、師範アランの人間性と包容力に溢れていて、多くの師範たちが虜になってしまうからなのです。壁はないのです。師範アランは、私に主審をするように宣告していました。しかし、手塚会長の代理副会長と紹介して、演壇の中央に据えられて、身動きができないのです。さらに美人のアンナリースが、初めて会う人達との通訳です。 
 師範アランの世界は、一人の会長手塚を全面的にサポートするのです。それも何ら見返りを求めないのです。どれ程の大会の経費がかかったことでしょう。全く関係ないのです。唯、手塚会長を支えることができて嬉しいという感性だけなのです。
 イラン人でジャーナリスト、アジフの息子が、アラン邸で内弟子のようにトレーニングを指導したのですが、夫婦で怠惰な生活を送り、掃除もせず、トレーニングもそっちのけの姿勢に怒り心頭でしたが、大会には参加させ、三位の入賞を果たさせてあげるのです。
 怠惰な姿は批判し、改めさせるのですが、人を決して疑わないのです。素直に喜んで応援するのです。人を裁く言葉を吐くようですが、心の奥底で許しているのです。人を憎まないゆえに、アラン先生の存在感は輝きを増していきます。さらに、あらゆることがありながら、苦しみを覚えるというよりは、信じて騙されて、そして平気な顔をしているのです。
 世界中に、聖人君主はやはり存在するのです。裏切られても苦しくても、涙を拭いて、微笑んですべての人を迎える人生を実践しているのです。もう既に師範アランは64歳の年齢です。何故か人を抱擁していったときの勝利を味わっているようです。
 また教えられることは、極真の道を行く人は、全力で事に当たり、心身を尽くしぬいて、その目的の為に向かっていくということです。この道には執念というものが必要なのです。私も執念の塊だと思ったのですが及ばないようです。
 知恵ある人は、どんなことでも、未来の希望を抱いて黙々歩んでいく人でしょう。愚かな人は、目の前のことで、未来を無駄に投げ打ってしまう人でしょう。どっちを取るのか、結局は、知恵ある人の道を選択したいものです。