2010年1月25日(本部長通信799)

人生の原点を自然に見る(14)

 NHKのドキュメンタリドラマの中で、鮭の一生が放映されていました。七月に小さい稚魚を孵化して海に送り出せば、四千マイルから五千マイルを四年から六年の間泳ぎ回った後に、昔自分が離れた故郷の匂いをかいで、再び戻ってくるのです。
 今日、その神秘は、科学でも解析することができないのです。科学の研究ではまだ理解できないのです。それは何かアンテナやレーダーを持って帰ってくるのか、いまだ分かりません。
 四年から六年たてば、自らその故郷に帰っていって卵を産み、卵を産んだ後はすべて命をなくし、自分の身体をその稚魚に与えるのです。そのようにして、稚魚が大きくなるようにしているのです。
 もっと詳しく調べてみると、先に雄が遡上して、その次に雌が上がってきます。そこで初めて出会うようです。そして、水が溜まっているような場所で、そこで初めて交尾が始まります。
 ところで、本当に不思議なのは、海にいる時は、オスとメスは大きさが少し違うのだけで、見た目は全く同じであるのに、これが、相手と結ばれると、雄は二週間で別の姿になっていくのです。それは、そこまで変化するかと言うぐらい変わるのです。
 つまり、鮭の雄の姿は逞しくなるのです。口や歯が怖いようになります。さらに頭と背中が出てくるのです。百獣の王ライオンみたいです。雄と雌がペアになって、交尾が始まると違いが歴然とするのです。人間で言えば結婚してからの男ということになるのでしょうか。
 たとえ、鮭でもそのように生きているのに、人間はどのように生きるべきか全く知らないまま過ごすことが多いのではないでしょうか。鮭の一生は、人間の生き方の手本になるのです。動物の本能の伝統を代表している存在のような気がします。