2009年12月30日(本部長通信773)
極真の未来・日本伝統の未来―理想へ(1)

 私は、この杜の都仙台で思い出をたくさん戴きました。夢の中でも仙台が現れてくるのです。紛れもなく、私の故郷です。私の心は、いつでもどこにいても、愛情と生命が溢れているところに連結されていきます。
 私は、父母の血統を受け継いで生まれ、父母の愛を受けて育ったので、その愛が溶け込んでいる北都仙台を大事にせざるを得ないのです。父は、82歳老人ホームのショートステイとでーサービスを受けながら穏やかに過ごしています。母は、老人仲間の集いに毎日出かけて行くのです。
 私の年齢が56歳ですから、ある意味で年をとればとるほど、仙台はかけがえのない故郷なのです。私の人生は仙台から出発したので当然のごとく、仙台に帰って来てしまったのです。自分の人生の出生は仙台でしたので、仙台に帰ることになったという運命でした。
 生まれてから私の時代は、諸先輩方が、高度成長を突き進ませて日本を大きく育てたのでした。この国の現代文明が先頭を行くだけの背景を持ち合わせている国だから出来たことなのです。この国は、世界に対して大きな役割を果たしてきました。
 客観的にみても、日本は、世界に対して重大な責任が生まれているのです。世界の繁栄と平和の為に最大限貢献していくのだと思います。回転する車のタイヤの軸のような役割を果たしていく事になるのでしょう。タイヤの軸を分解すると、ベアリングが詰まっています。軸を一定に固定しながら、自由に回転するのです。
 そこで、世界平和の為の、ベアリング、それが日本であるべきなのです。外交問題でも大国と、ぎくしゃくしてはいけないのです。まさに、強大国のアメリカとの関係も円滑を維持しながらも世界平和に貢献する日本であるべきでしょう。
 単に政治的・経済的な理由を言っているのではないのです。私は、政治家・経済人ではなく、武道家なのです。日本の武道精神を世界に輸出しようとしているのです。今まで、経済発展を原動力にして世界に貢献してきましたが、日本の精神的没落によって、この国自体が谷底へ向かって落ちて行っている現状をみるのです。
 いくら高い山の頂に置いたとしても、石ころは谷底まで落ちてしまいます。日本の経済発展はまさに谷底です。しかしながら、この谷底に日本の場合、今までの歴史が培ってきた武道精神を代表する精神文化があるのです。
 世の中が完全に危うくならないうちに、武道精神を原点とした極真精神を仙台から出発させていく為に、万全の準備をしなければならないと感じています。偏見と利己心に染まった過去を捨て、澄んだ目と新しい心で新しい時代を切り開かなければならないと感じるのです。本当に、谷底をのぞいてみると、武道精神が横たわっているのです。