2009年12月2日(本部長通信745)
私の歩み(32) 空手道の伝統と教育

 子供たちが白い道着を着て、稽古し始めると、そこに礼儀正しさと、清々しさが伝わってきます。そして、力強い気合いが空気を切り裂くのです。その道場生の一挙手一投足に、見え隠れする武士道の伝統がにじみ出るのです。上手や下手ではないのです。それこそが武道の精神なのです。
 しかも、道場生の一生懸命な汚れない表情は、全身空手着で包み、逞しさに変身していくのです。これからも空手道が未来を背負う子供たちの心を捉えなければ、日本のこれからの将来が無いと思うのです。それゆえ、一生懸命指導をするのです。
 私たちが死ぬ前に、必ず残しておかなければならないのが、二つあります。その一つは空手道の伝統の相続であり、もう一つはまさに教育なのです。伝統の無い民族は滅んでしまったではないですか。空手道の伝統を結ぶ魂は、精神のこもった人材を作っていくことに他ならないのです。
 さらに、重要なのが教育ということになります。これからの道場生を教育していかなければ、私たちは滅びるだけです。教育は、学問、芸術など様々な分野がありますが、空手道は、世の中を生きて行く上で力になるのです。道場生は教育を通じて生きた知恵を学びます。まさに、武道は学んできた事を活用する能力をもたらすのです。
 確かに知識は、世の中の仕組みや動きを理解することなのです。それを活用する空手道は、生活の中で適切に融合され、創造的人間性を確立するのです。そういう意味で、今までの空手道の伝統とこれからの教育は、どちらが重要であるというのではなく、適切に融合させる内容が重要になってくるのです。