2009年11月15日(本部長通信728)
私の歩み(15)本部での稽古

 私の生活は、長年の習性で朝五時になったら起きるのです。夜中午前零時を過ぎて一時、二時になっても、朝には起きてしまうのです。極真会館は私にとっては特別なところでした。仕事をしての道場通いでしたが、結構苦しい修業に従事したことになります。
 極真会館の修練の原点は大山総裁です。世間の常識を逸脱した訓練であることは間違いない事でした。入門した道場生が大山総裁を目指すわけですから、中途半端はすぐに見破られて潰れてしまうのです。総裁のレベルを築くために考案された訓練法が稽古ということになります。
 当時、稽古が始まり、終わる頃にはへとへとになってしまいます。過酷な稽古をくたくたになるまで続けて、自然とその稽古で生き残れた者だけが這い上がっていくという修業でした。多くの道場生は自然とやめるように仕向けられてしまうのです。
 極真会館本部の稽古は、午前は十時と午後四時半、そして夕方の七時と一日三回続くのです。池袋の本部道場二階に志のあるものは集まってきます。道場に整列し、ぎっしり狭い道場に数十名の練習生が帯順に整列です。正拳中段突きをするのですが、半分ぐらいしか手を出せない位前列と詰まっているのです。
 基本、移動、型と進んで、最後は組手です。先輩のパンチと蹴りが襲いかかってきます。容赦がないのです。組手の時間は身体が震えるのです。それもそのはず、肉がえぐられるような痛みが走るのです。組手の途中には頭がくらくらしてくるのです。痛みをこらえるのですが、頭の後ろの髪が逆立ちしてしまうのです。実際は、いつ辞めようかという毎日であったのでしたが、意識がもうろうとする中で、自分はこの訓練に耐えて行こうとする心だけは失いませんでした。