2009年10月16日(本部長通信698)
人間関係(48)師範の指導(43)

 師範は、道場生の才能に関して本当の事を言わないかもしれない。今までの経験でよくわかっていても語ることはないのです。師範の場合、若い時に空手を習って、大山総裁に指導を受けたものですから、そのまま、三十数年同じ空手の基本なのです。もう一度修正しておくことは必要なのですが、初めからやり直すことはほとんど皆無の状態なのです。
 ところが、道場生に関しては、指導者という立場で、基本がしっかりしているので、新しい技も的確に磨きがかかるというふうに言うのです。これだけの動きなら、わけなく進歩するはずだと話すのです。
 師範は、自分に対しては、欠点が分かりすぎるので、自分自身に対して、欠点を強調して、直す意欲を失うのですが、師範の道場生の指導は逆なのです。長所を褒めて欠点の事はあまり言わないのです。空手のセンスが良くて、素質もなかなかと思うのです。そう言われると、道場生は自分が下手と分かっていても、つい、そうでもなさそうだという気がしてくるのです。
 とにかく、道場生は、褒められたおかげで、必ず上達するのです。師範の言葉で元気が出て希望がわいてくるのです。向上心が湧いてくるからなのです。道場生をばかだとか、能無であるとか、才能がないといって罵るのは、向上心の芽を摘み取ってしまうのです。師範としては、道場生の優秀さを示そうと懸命に頑張るその能力に全てをかけるのです。