2009年9月12日(本部長通信664)
人間関係(14) 師範の指導(9)

 批判したり、反駁したりしているうちには、相手に勝つこともあるでしょう。しかし、私が悟ったことは空しい勝利でしかないという事です。なぜなら、相手の好意は絶対に勝ち取ることができないからなのです。私は武士道としての建前の議論の華々しい勝利を勝ち取ることも必要ですが、相手の好意を勝ち取ることがもっと素晴らしい事ではないかと考えるのです。
 この二つは絶対に両立しないと悟るこの頃です。正しいがうえにも正しい主張をいくらしたとしても、相手の心はなかなか変えることができないのです。そういう意味では、何ら間違った議論をするのと変わりないと思えるのです。人は自分の存在価値を認められたいと思うのであり、自我の拡大が行われると親切な人間に変わると感じるのです。
 釈迦いわく「憎しみは、憎しみをもってしては永久に消えない。愛を持ってはじめて消えていく」。間違いを批判で持っては永久に解けないのです。ある意味で、気転、外向性、慰め、いたわり、そして相手の立場で心情的に思いやることを持ってして初めて解けるのかもしれないのです。
 師範は、今この歳になって、向上心を心掛けているではないかというのです。私が、不機嫌に陥ったりしたらどうしようもありません。自制心を乱すようでは、いよいよ批判することなどできないのです。こちらに勝ち目が半分あったとしても、例えそれがどんな重大な事でも、譲ろうと思う心になっているのです。もし、百パーセント正しいと思えても、小さい事なら譲ろうと最近は思うのです。