2009年8月3日(本部長通信624)
ベルギーでのサマーキャンプ(3)

 ヨーロッパ各地から極真空手マンが集まってきました。総勢100名のメンバーで、それも責任者であるから迫力は凄まじいものがあります。去年キャンプで一緒に歩んだヨーロッパ人もいれば、一昨年であった人もおりました。
 開講式ともいうべき、セレモニーが三十分程あり、そこから、基本の組み立て方式で、アラン師範が指導に当たりました。順序がいろいろですし、まだ慣れていないこともあってぎくしゃくしながらの動きという事になりました。
 多くの外国人を目の前にして感じることは、極真空手がこれ程までに、外国に浸透していくことに、素晴らしさを感じるのです。私が日本で先駆け歩んだ事に対する誇りが、芽生えるのです。人生の中で、空手を選択して良かったということであります。
 さらに、7段の段位は、結構重いものがあります。アラン先生が7段であり、八段、九段と数えるほどの人しか段位を獲得していないことを思えば、自分自身に責任と自覚を感じながらのキャンプ第一日目という事になります。
 しかも、ヨーロッパ人は、体格も大きく、迫力は満点であるという感じさえ受けます。武士道としての道を示すと同時に、手塚グループの方向性をしっかり示して、修業の何たるかをはっきり示さなければならないと改めて、思うのであります。
 さらに、息子のキャンプ参加で、いっそう自分自身が引きしまう思いであることは間違いないのです。遠くヨーロッパに来て、さらに、親子での参加ですので、感慨深いものがあるのです。それが、自分の親としてのエネルギーの源泉になると思えるのです。
朝は運動場で一時間、みっちり走り込みをするのです。会長をはじめ私たちは見学と決め込み、ヨーロッパのメンバーの運動量をしっかり見つめるのでした。我が子聖義も十分に走り込み、空手の何たるかを自分で掴んでいるように思えます。
10時からのトレーニングのメニューは、安齋先生の基本からでした。原則的な内容ですが、外国人のメンバーには新鮮な感動があるのではないかと思うのです。地味な中に空手の本質をしっかり押さえた基本は、全身のパワーを拳や、足刀に伝わる切れがあります。
 午前中のトレーニングはアラン先生をはじめ、ヨーロッパの支部長の面々が、しっかり受け継いでいくのではないかと思えました。日本人が指導して外国人が継承していくそのパターンは何とも言えない感動を受けるのです。
 思えば、日本が中心となって指導できるスポーツは、もうなかなか無いのです。全てが外国に押されてしまうのです。例えば柔道にしても、日本を尊敬するというよりは、競技の中で、外国人の主張が全て通って、ルールから全て押しこまれてしまうのです。
 もちろん、極真空手もそのようになるのではないかという懸念がありますが、それ以上にしっかりした歴史性と伝統を建てていくとするならば、悩み無用の展開がなされるのです。伝統のしっかり立って組織が手塚グループという事になります。
 何故ならば、人間関係がスムーズなのです。しっかりした秩序の元に運営されていて、師範としての立場が有効に確立されています。五段以下は先生、四段以下は先輩としっかりした秩序でなされているのです。
 こんなに用いられていいのだろうかという懸念はありますが、ある意味で、手塚グループでの七段の威力は外国人にとって凄まじい威力があるのです。ヨーロッパの先生よりは当然上の段でありますし、自身を持って指導ができるのです。
 もちろん、安齋先生は八段ですから、そのように各国の指導者は見つめますし、一挙手一党足、内容をしっかりチェックしているのです。外国人は合理的なのである意味で、虚勢や偽りは通じないのです。
 朝食後に基本、型の稽古をするのですが、専門分野の指導員の指示のもと、頑張っている様子が伺えるのです。私は、型はちょっと苦手なのです。すぐに退却して、安齋先生の用事を受けて、会場から少し退くのでした。
 基本の練習でも、検査期間が今までかかっていたので、練習量も少なく、自己管理も殆どなかったに等しいので、休み休み、一つ一つしっかりこなしていくことができればと思うのでした。しかし、結構基本だけ進めるだけでも、厳しさを感じる練習でした。
 空手は手段、あるいは媒介と思い、プロの細かい指導を心掛けることもなく、ただ、自分の生きざまの姿だけを表せることができればいいと思っています。このスタイルはほぼこれからも変わることがないと思うのでした。