2009年6月16日(本部長通信577)
父親の子育て奮闘記
長女順香(2)

 娘が一歳に成るか成らないかで、和歌山に在住することになりました。夫婦の仕事が忙しいので、大西さんという保母さんが順香の世話をしてくれました。いつも時間があるときには、家に帰って娘とじゃれ合う自分の姿が思い出されます。
 娘とのスキンシップは、心と心の触れ合いで愛情を離れては生きることのできない親バカそのものでした。今の仕事よりも、たとえ自分が社会的な地位がどうであろうとも、どんな権威を持っていたとしても、心の喜びは家族と娘がもたらしてくれるのです。仕事の関係ではなかなか心情的な満足は得られるものではないのです。
 家に帰ってきて、妻とお互いに子供のことを話すことを通じて喜びを感じた期間でした。まさに、娘を含む子供たちとの絆が一次的な喜びであって、自分の心の中では最優先しておりました。千順さんは基本的に母乳で育てました。それは母子の情緒的な側面を育てていったのではないかと思うのです。
 娘を育ててみて、社会生活とは全然違う感性を感じるのです。ちょうど根から始まって芽が出て、循環作用がなされて、成長を続け、花が咲き、実を稔らせていくような感覚になるのです。今までは何か訓練のように思えて、家庭を持って子供を育てるために準備であって準備を間違えないようにと歩んできたのが青春時代であったように感じるのです。娘と接して情緒的な土台が自分の中で築かれていったのではないかと思うのです
ましてや、男兄弟で育って妹もいなかったので、なおさら可愛がっていました。今思えば、オムツを取り替えて喜んで、一緒に風呂に入ってはしゃぎ回って、離乳食を食べさせての思いですべてが懐かしいのです。