2009年5月8日(本部長通信538)
極真空手の美学(芸術論)(1)美学の実践


 極真空手は、実践空手というイメージのもと、フルコンタクトの実践形式を主に主張してきました。大会形式で優劣を争うことが第一目的とされてきたのです。それゆえ、どんな組手でも認められてきことは事実なのです。しかし、この極真空手の現状を打破して新しい美学を創建することも、願われるのです。今までの極真空手の美学を克服する新しい代案が求められても良いのではないかと思われます。事実、大会の度ごとに、安全性や公平性の観点から改革がなされてきました。
 それが、今までの大会至上主義、あるいは勝負偏重主義を主張した極真空手の美学でしたが、新しい方向性の極真空手の美学を検討する段階に入っているのも事実です。今までの極真空手の美学において、実践を主とした大会での組手は重要な役割を演じてきたことは間違いないのです。しかし、これからの極真空手のためには、今までの極真空手の美学を打破することのできる新しい美学、型や組手を生み出さなければならない時期に来ているのです。
 未来の極真空手に希望を託すために、新しい美学を検討するとは意味のあることです。すでに、世界は衣食住が解決されようとしている社会を目指しています。そうなると空手だけでなく一般の人々は、芸術やスポーツ・武道の世界に重点を置くことになるのです。それゆえ、子供を持つ親たちは、子供たちのスポーツと芸術・武道に対しる理解も検討する必要があるのです。
 極真空手の遺産を正しく保存するためにも、道場において美学を中心に検討する時期に来ているのです。師範も、極真草創期の人間ですので、美学という概念をどのように身につけていくか未知数のところはあるのです。芸術的な側面を重視した型教室とか、四肢五体を有効に演じた組手とかを、さらに研究する必要があるのではないかと考えるのです。