本部長通信442 2009年1月29日

師範の個人的な話(29)

 去年レストランの片隅で息子と食事をした。もう息子には説教は聞かないのである。こうしろ、ああしろ、は、すでに効き目は0%に傾いていた。説教は20年の間、聞き続けているので、息子にとって新鮮なことはないのであろう。今は息子の父に向かう発言と要求を聞くばかりである。態度もとても大人になって、なんとなく、対等である。それが嬉しいやらなんやらで、歯がゆく思うこともある。
 その時も、一点を見つめて物思いにふけっている様子であった。細かいことは話さない。無表情で淡々と食事をとる息子に頼もしさを感じていいやら、ここで一言話さなくてはならないという思いも押し込めて、淡々と食事をこなしていった。
 さらに、食事を終えて、飲み物を注文する。コーヒー片手に漫画の本である。愛読書であるのだと思うが、師範が青年時代、漫画なんか読んだかと自問するのである。情けないとまた一言説教したくなる。しかし、考えてみると少年マガジンを読みあさっていたのは確かこの時かなと思いだした。空手バカ一代である。それを考えると俺と同じかと認めてしまった。
 その時は、息子の一つ一つの仕草が気なるのである。別に批判的に思うのではない。ただ気になるのである。私のこの息子に何をすべきなのか自問自答は続く。師範は息子をこよなく愛している。だから、どうすべきか、座禅でも組みたい気持ちなのである。