本部長通信441 2009年1月28日

師範の個人的な話(28)

 長男の成長は早いものである。去年の昇段審査に参加して、頑張っている姿を見せてくれた。とても師範としては嬉しいものである。彼はこれからどのような方向に向かっていかなければならないのかと師範としても父親としても考える。今は、柔道整復師の資格を取って、もしも子供たちが怪我をした時にしっかり治療してあげられるようにという動機であった。
 それから、さらに今、指導員としての自覚をしつつある息子の姿である。空手の指導は本人としては楽しいようである。子供たちと仲良く和合して、指導も丁寧で信頼が出てきている。師範よりも身近な目標として息子は子供たちをリードしているのだと思える。何としても、どのような方向で師範は育てていったらよいのかと思い煩うのである。
 我が家で息子の寝顔を見ながら、師範は、気がつけば、息子に傷つくことを恐れてはいけないと訴え続けているのである。いつの日かはこの手を離れて、大空に飛び立っていくと思うと、不思議な感情が湧き上がってくる。息子よ、自分の心の趣くままに一生懸命走ってくれと願うばかりである。
 息子が誕生した大阪の空は、本当によく晴れていた。今成人式を迎えた息子を前に、その光景が焼き付いて離れないのである。寝ている息子の顔に今触れている。父親としてのこの胸の高鳴りを隠すかのように、息子が気付かないうちにそっとドアを閉めている師範の姿であった。