本部長通信438 2009年1月25日

師範の個人的な話(25)

 師範は保護司という仕事を、法務省より授かっている。名誉なことである。ただ、仕事内容はきついことがある。法を犯して罪を償った人たちの社会参加である。もちろん、あらゆる罪に対してのカウンセリングと心のケァということになる。
 私の保護司活動も今ではベテランの領域に達している。感想としては、カウンセリングをするたびに、どのように対象者に希望を与え、再び社会に復帰していくことができるかという内容になる。
 保護司の先輩で、ある事例を扱った。あるやくざの組長の妾で、刺青を入れた人が対象者になった。根気よくカウンセリングをする中で、その女性が中学も満足に卒業してないくらいなのに、弁護士を目指したのだと言う。
 数年が過ぎて、あの難関の弁護士試験を無事合格したのである。すごい話を師範は聞かされて、あるマスコミに乗っていた刺青の女弁護士とはあの人なのかと思った。
 人は、決意すれば、かつて過去に何があろうとも、社会参加ができるのである。日本の憲法はどんな罪人でも終身刑や死刑でない限り社会参加の機会は与えられる。どんなことがあっても人生投げてはならないと、先輩保護司からの私に対するメッセージに思えた。