本部長通信329 2008年10月8日

極真空手道


 (2)個性
 一個体の中に特有な個性を持っている。これも前章で述べた内容からの展開と考えてよい。
 人間の存在が、個性として表現展開していく。誰もが特殊化されているのである。たとえば、人それぞれに性格、体格、容貌が違う。鼻筋の高さとか形が違うだろうし、鼻の大小もやはり人によってみな違ってくる。また同じ喜びといっても、その表現方法が各々違っており、悲しみにおいても、同じに違っているのである。だから、仏教では、天上天下唯我独尊といい、一人一人は無限な価値を賦与しているのを言うのである。
 さらに個性は環境によって変化を余儀なくされていく。遺伝学では遺伝形質に該当するものと見ることができ、個性が成長及び生活過程での環境との関係性を通して、個性の概要が変貌するのである。このように変貌した個性は遺伝学上では獲得形質に該当するといえる。
 ところで、武士道的観点からこの個性を検討する。一般には、特出な指導者が環境を支配するのか、環境が人物を生むのか、又は環境造成がより重要か、人物の出現がより重要な問題なのか重要な論争になる。とくに、極真空手道追求者の観点に立てば、人間は主人であるから環境はその対象物にほかならず、主人である人物を重要視する。環境が人物を作るのではなく、人間が環境の事体収拾のために登場するという考え方にならざるを得ない。