2018年1月9日(八段語録3178)
「君たちはどういきるか」 原作 吉野源三郎


 八十年前に書かれた書物なのです。
今日のクローズアップ現代でも取り上げられていました。
たまたま、長女が書店から配送してもらっていて私の目にも留まったのです。
何の気なしに本を眺めているときに、この本の事をNHKで放映したのです。

この本の輝きは色褪せないようです。
今も読み継がれるべき永遠の名作だそうです。
答えは無いにせよ、自分の生き方を決定できるのは、リアルな自分だけという事です。
その人としてのあるべき姿をコペル君とおじさんが話すのです。

1937年に出版され、今なお多くの人に読み継がれているという名著だそうです。
コペル君が経験したことをおじさんは説明するのです。
一例として、デパートの屋上で下界を眺めると、多くの人が行き来して人はその流れの中にあるとコペル君は話すのです。
コペル君は分子を構成している一つのようだ実感しているのです。
それに対して、おじさんは、天動説から地動説へとコペルニクス的転換だというのです。

つまり、ものの見方を 全体から見つめることができるようになったというのです。
人間が自分を中心とする考え方は根深いもので、頑固なものです。
近所の事や、地域の事を色々なもので埋没して、長いものに巻かれてしまうのです。
しかし、社会に出ると多かれ少なかれ自分から離れて正しく判断していかなければというのです。
そして、自分自身が広い世界の中の一人であるという事を悟るというのです。

また、教えをそのまま鵜呑みにするようでは、人格者とは言えないと表現しているのです。
肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、真実から心を動かされて出発するという事のようです。
ただ言われた通りに行動し、教えられて生きて行こうとすれば、一人前にはなれないというのです。
自分が人の目にどう映るかではなく、本当の自分をありのままに表現するという事を教えるのです。

ようするに、一週間断食した後で、お粥の味がどうであるかという事は食べてみなければわからないのです。
いくら、何百冊の本を読んだとしても、いっぱいのお粥の実感にはならないのです。
また誰がどんな説明しても、本人として味わう事はできないのです。
つまり、色々な体験をしながら、いつでも心の声を聴くように努めなさいという表現でした。

極真空手でも言えることですが、稽古をするという実践から悟るという事です。
その悟りは、千差万別で誰でも違った境地に立つのです。
その境地が、一人一人にとって大切であり、誰からも強制されるものではないのです。

そのように、一人一人が、自分自身で真実を求めていくという事に意義があるのです。
自分の体と心をもって感じることでなければ、真実には出会えないのです。
私自身が、短いながら人生を歩むという事は、教えられただけという事ではいけないわけです。
自分自身で、判断することのできるコペルニクス的発想が必要という事です。

 ところで、私自身の発想も、心と体で人生を通じて感じていかなければ、一生ではないのです。
この肉体が何故に成長して、逞しくなるかという事です。
心と体が作用して、より大きな世界を見つめて体験していくという事です。
このような発想が身について初めて、大人として立派になるという事です。

それだけでなく、大人になって、結婚もするようになるのです。
心と体が夫婦合わせると四つになるのです。
この心と体の存在をコントロールするようになるのです。
それができなければ、離婚とかとなり夫婦が続かないのです。

それだけでなく、家族を持つようになると、子供が生まれた数だけ心と体が増えるのです。
そのような複雑な心と体の動きをしっかり見極める能力も必要になるのです。
天地行徳とでもいうのでしょうか。
しっかり家族を納めなければならないという事になるのです。

世の中は、複雑な関係になっているのです。
それだけに、身をどのように納めなければならないかという事が問われるのです。
その問いに八十年前に表現された本が評判になっているのです。
まさに、人生を通じてコペルニクス的転換を迫られて、越えた人たちが立派な人であり大人であると表現しているのです。

 結論として、「君たちはどう生きるか」という事に対する問題提起をしてくれていると思うのです。
人はどのように生きるべきなのか、そして何故生きるべきなのかという事の回答になります。
権力をもって、たくさんの財産をもって裕福に暮らすためという事ではなくなります。
何が必要なのかという事の本質的な疑問を投げかけてくれました。

地位とか権力とかお金は潤滑油には必要でしょうが、本質ではないのです。
私達の人生の目的は、この心と体で体験して愛情を奏でることでしょう。
人生としていろいろ経験する中で、一人一人が成長するのです。
そのような経験をするために、この環境があるのでしょう。

そして、愛情というものが家族を包むときに包容力も生まれるというものです。
表れていない内容が、愛情で包まれて、真実の感性を抱くという事です。
それもこれも、自分から離れて相手の立場に立ったことで豊かに恵まれるのです。
そんな観点に人が立つという事がこの本の言わんとするところでしょう。

損得勘定をもって、手前勝手な考えを戒めているようです。
そうでなければ、事の真相が分からなくなるというものです。
私自身がしっかり生きてみて、初めて偉い人が言ったことも理解できるというものです。
今日も自分を誤魔化すことなく生きようと思った次第でした。