2012年8月27日(八段語録1787)

旅立ち(2)


 道場に通ううちに、稽古で、手を骨折してしまったのです。勢い余ってということもあるし、技を身に着けてなかったこともあるし、様々な理由で、稽古ができず、悶々としていました。三か月通った道場でしたが、休会して、東京から名古屋の守山へいきました。修行の旅は始まったようでした。
 当然、卒業式には、出席し、お世話になった先生に挨拶しただけでした。そこで、自分を深く見つめることにしたのです。もちろん、若かったので、寝袋生活でした。名古屋の守山から北陸、アルプスを越えて、福井県、石川県、富山県、新潟県と寝袋生活で、駅の長椅子で夜は寝ていました。漁師出会い、農家の人と話しをし、街を彷徨いながら、いろいろな人と出会って、生き方を学びました。
 この時に心掛けたことは、決して酒を飲まない、たばこは吸わない、男女関係は持たないということでした。ここに、親父の生き方が生きていました。三か月近く放浪し、東京に戻ったのが、夏の暑い時でした。再び、道場に通いました。今度も三か月近くで、挫折ということになりました。また休会です。当時の極真会館は半端ではなかったのです。最少年齢ということもあって、恐怖心が先だったのです。
 また、修行の旅に出かけました。極真会館に所属したとはいえ、修行の旅に出かけて、全国を行脚する癖がついていたのです。今度は、北海道札幌です。南16条西14丁目に、腰を下ろしました。それでも、全道を行脚するたびに出かけたのでした。自然はとても美しかったのです。
 北海道の冬は寒いのです。軽装で来ていましたので、そのまま南下しました。青森、岩手、宮城には意地でも入ってもすぐ出ました。そして、福島の郡山で冬を過ごしたのです。体は鍛えようとしたのですが、基本の真似ごとぐらいで、真剣ではなかったのです。そのうち、春先になって、群馬に移動し、そこから、九州を目指したのでした。春は九州、初夏は四国でした。四国は八十八か所のお遍路さんと一緒になって回りました。そこでいろいろな精神的なことを学びました。
 夏は、中国地方を回り、東京に入ったのが9月の終わりでした。また道場に通ったのですが、経済的にそこをついていたので、なぜかしら、道場には一か月ほどで別れを告げて、栃木県の宇都宮で事業を始めたのでした。一年半、食品関係の仕事を開拓して,借金を背負って、再び北海道に海を渡って逃げ出したのでした。