2012年8月23日(八段語録1783)

北海道


 青年の思い出が、浮かび上がってくるのです。というのも偶然に出会った人がいたのでした。人を待っていたようで、声をかけましたら、懐かしそうにしてくれました。三日前にも出会っていた人がいたのですが、今回、出会った人は、会社の中でも営業を一緒に運営してくれた女性でした。今は二児の母として子供を立派に育て上げたそうです。
 北海道を飛び回って営業活動しました。チームを編成し、二グループを作って、競い合いました。私の二十代のときは、夕張をはじめ、滝川方面に足を延ばせば、炭鉱ばかりでした。炭鉱の人達は、命がけの仕事だけに、経済的に豊かでした。そのため、営業の最後のターゲットは、炭鉱ということになっていた時代でした。
 私の意識は、経営者というよりは、前線隊長でした。営業実績を向上させなければ、会社の存在も危ういので、必死でした。そのような中で、私の気持ちも理解し、会社の状態も把握しながら頑張ってくれた女性が、今日会った人なのです。この時、二十代前半でしたので、極真道場にも通い、会社も運営するということで、気持ちにゆとりもない時でした。
 運命的には、この女性に惹かれていったことは事実でした。会社も大きくなりそうですし、心の支えの女性としては申し分のない人でした。それでも、若き情熱は、女性との恋愛関係に大きく発展することもなく、只、真っ直ぐに通り過ぎた過ぎた青春時代だったのです。
 今回、こうして出会っても、仕事上のパートナーとしての思い出と、かすかな恋心が残っているだけでした。それでも、思い出に残るよき人でした。幼い私でしたが、自分の中に一つの原則を持っていたのです。結婚式を挙げるまでは、どんな女性に対しても、性行為をしないということです。多情多感な私でしたので、そのことが人生を狂わせることもあると認識していたわけです。
 当然、彼女との思い出も、会社全体の中で作られましたし、個人的世界へは突入することも無いように努力もしたのです。それだけに、今会うことができて、しばらくの間立ち話をしたのですが、清涼感漂う感性だけが、通り過ぎていくのです。この思い出は、私の宝であり、大切なダイヤモンドとして残しているのです。
 彼女との別れのひと時は、実に慕わしいものがありましたし、最後に残った笑顔は忘れられない印象となりました。このように、自分の青春が、輝かしいとは、今にして、感じるものなのかもしれないのです。最後に彼女のこれからの幸せを祈って、一日が終わりました。