2012年6月15日(八段語録1714)

更生への道(1)


 少年院を出所した少年を預かっているのですが、この少年一人をどのように社会復帰していくべきかという事を悩み抜く時間が過ぎているのです。義務教育という内容をほとんど受けていないのです。義務教育に匹敵する、特殊学級での変則的な教育だけが、社会に通じる倫理・道徳面での支えなのです。そして、少年院での技術教育で取得した資格がこれからの社会に生きていく為の社会人としての生活の糧になるということになるのです。
 保護司としての葛藤は続くのです。正常な家庭環境から程遠い状況の中で、不良と言われる仲間との交流が少年院に入所するまで、続いていたのです。少年院に入る以前から、生活の乱れがあり、未成年でありながら、男女関係を複数持ってきているのです。いわゆる、その不良仲間の放漫な生き様の環境にどっぷり染まっていたのでした。
 確かに少年院を出所して、心を入れ替えていくという決意をしているのですが、それは表面でしかないと確信に至る状況を半年の間、垣間見続けてきたのです。そして、保護観察期間で更生への道を開拓する為に、この少年の母親の精神状態を正すところからの導入になるのです。家への訪問は、祖父と祖母の今までのあらゆる苦情の受け止めから始まったのです。特に、祖母の彼に対する批判の矛先は半端ではないのです。実に、不良仲間のたまり場として、この家が使われ、多くの不良行為を見てきているのです。
 半年間、私が心がけてきたことは、祖父母と母親に更生への歩みを、理解してもらうという事だったのです。そして、不良仲間との縁を切るという所から本人との確約をして、それを家族に納得してもらうという事から始まった訳なのです。保護観察当時、家族の目の前で、本人と私のバトルが始まったのです。私に対する非難を泣きながら訴えてきました。その根底は、「俺のことなど分かってくれはしない」という事でした。罵声を浴びせられながら、彼の本音をしっかり受け止めるべく、忍耐し続けたのでした。
 今回の面接は、半年間の私の忍耐してきたことを、丁寧に彼に話すことでした。しっかり彼を受け止めたがゆえに、聞き入れてくれる状況を生み出し始めてきているのです。心の交流をするのに、実に半年間という期間が過ぎたという実感をするのです。それも、本人が、私に対して数々の無礼を、今は一つを取り上げながら、人としての付き合いの基本から今日は講義しているのです。そのような意味では、面接は、愛であり、祈りなのです。本人の正しい未来を見つめながらの連休明けのミッションとなりました。