2017年12月27日(八段語録3169)
極真会館手塚グループ 第二章 極真精神の究極
五 良い生活をする勇気


 作並に向かっていましたので、猛吹雪の真っただ中、車を走らせていました。
年末という事もあって、妻と対話をするのです。
デートをしながら、一年の総決算としての、忙しかった日々の思い出を話すのです。
妻の口を挟む間もなく私が一方的に捲し立てました。

ここは、作並温泉植松旅館という古いホテルなのです。
そこで私は、広瀬川に面している露天風呂に入浴です。
川辺は雪景色で白銀の世界です。
吹雪いて一挙に雪が積もっていきます。

今日は雪なので、誰も日帰りコースを利用する人はいないようです。
それだけに、一人ゆっくり露天風呂で、リラックスです。
風呂場まで雪が舞ってきます。
一時間も経たないのに、十センチも積もりました。

湯上りは、昼食です。
妻には、二十五年の間、下宿業をさせ続けてきています。
ここらで、何とか休ませたいものです。そんな思いが心を去来します。
そして、世界中を一緒に旅行したいという話にして、話題を弾ませようとするのです。

振り返れば人生、勇気をもって、あらゆることに対処してきました。
できるだけ、価値ある生活をという気持ちで臨んできたわけです。
無駄な時間は取りたくないという節約志向もあったのです。
それだけに、酒に酔うような時間は無駄という事にしたのです。

神経を鈍らせて、麻痺させて何が楽しいのかという発想でした。
その発想は今でも続いているのですから、ちょっと異常かもしれません。
これからも、いくら飲み会であっても、飲むことはせずに、食事だけを楽しむのです。
そんな生き方が、価値ある生き方かどうかは、判断できませんが、私は納得しているのです。

常に、平静かつ落ち着いている沈着冷静でありたいという事です。
平穏で精神的に寛容な姿勢を保ちたいわけです。
常に理想的姿勢であることは難しいのですが、挑戦です。
今年も振り返れば、不意にあらゆることに襲われたのです。

思いもよらなかった、手塚会長の死去もその一つでした。
どれほど、心の落ち着きがあったかというならば、静穏ではなかったようです。
心の落ち着きを、最大限かき乱してうろたえてしまったという反省もします。
それだけに、猛烈な心の葛藤がありました。

 まさに、大災害にでもあったような惨憺たる状況にもなったのです。
心の冷静なレベルの基準は、最低限の低さだったという事です。
危機的状況の中で、あらゆる脅威にさらされ、ただおどおどしただけかもしれません。
二人ほど、心が離れていったのです。

それでも、しっかり支えてくれる核心メンバーが存在したことも事実なのです。
支えてくれた人は、私からするならば、勇気ある人達であったと記憶に残りました。
いざというときに、しっかり対処して下さったのです。
極真での鍛錬を受けているがゆえに、できた神業であると思うのです。

それで、私自身、会長の死去に伴って、どれだけ人に影響与える徳を持っていたかという事です。
あたふたとして、最高の精神態度とは、言い難い局面が多くあったという事です。
それだけに、このグループをお互い高めあることができる、人間関係にしようと思ったのです。
実に甘いかもしれませんが、封建的な圧制ではなく、相互援助の義務を負うような組織に変貌させたかったのです。

それだけに、母親のような優しい手塚夫人に代表になってもらって、穏やかさと人を心服させるような組織を目指したわけです。
この精神の導入が、組織でお互いが調和された状態として維持されると思えたのです。
足らないことは、重々承知していますので、会長夫人の力を借りようとしたのです。

 そのような意味では、優しい精神で満たされる家族組織を願ってみたのでした。
それが、どれほど一年で構築できたかは、未知ですが、確かに走り抜いたのです。
そして、今この年末を迎えているという事です。
その様な話を妻としているうちに、時間が過ぎてしまったのでした。

帰り道にもかかわらず、前が見えなくなるくらい、吹雪いているのです。
さらに、道路の雪は、轍ができていて、ハンドルが持っていかれそうになるのです。
対向車線から車が飛び出してきそうで、恐々運転して二倍の時間をかけて岐路につきました。
妻は、温泉で疲れて横でウトウトしていました。
私が横から眺めるのですが、良き人と出会ってここまで来ることができたのですから、心から「ありがとう」という気持ちになります。

寝顔から寝息が横から聞こえてきます。
心に思う事は、最後まで妻と人生を全うしたいという事です。
そんな吹雪の一日を持ったのです。
これも幸せのひと時なのだと感謝させて頂きました。