2012年5月27日(八段語録1695)
メカニックな人体
人体の勉強を始めて、二ケ月の歳月が流れてきました。人体という精巧な精密機械を学ぶにつけ、このような人体の神秘に触れたことに、人生の意義を再び自分に問いかけるようになっています。当然、今まで六十年近く有効利用してきたことになります。肉体の成長と完成を見たわけです。そして最近は、肉体環境の衰えも感じるのも事実なのです。
この肉体を振り返って、若き日の青春を維持してくれましたし、良き家庭を築き上げていく上で有効な働きをしてくれたのです。そして、今このボディに対して感謝することはあれ、不満など無いのです。人生路程の中で、あらゆる事件にぶち当たりました。そこで、肉体を中心として、精神力を強固に維持してきた訳なのです。自己の精神力に対して、理解することは無くても、より豊かで幸福な生活ができたことは言うまでもないのです。
振り返って、私は人生を理解する為に生きて来たのではなく、人生を楽しむために生きてきたのだと実感するようになっているのです。当たり前の事ですが、私は武道精神にいつも立ち返るのです。私は数ある武道団体の理念や方針など全く気に留めなくなっているのです。理念の違いや信条の違いというよりは、私の興味の中心は、武道精神が何を私に影響を与えてくれるかという一点に尽きるようになっているのです。それは、食物を食べて栄養を取るのに等しいのです。食物が栄養として私の人体に取り入れられて、より豊かで、より充実した幸福な生活を送れるように助けてくれたわけなのです。
当然、武道精神はもっと多くのものを与えてくれているのです。それは、私に精神的な価値をも付与してくれるのです。そして、いま、人体を中心とした解剖学や生理学を学ぶことを通じて、人生に対する新しい熱意を持つのです。つまり、より多くの満足すべき人生を歩もうという決意にもなるのです。私の取り組んでいる人体の研究は、人生の目的と方向をより明確に与えてくれるようです。幸福を増大させ、健康を増進するうえで最高の環境であると思うのです。人生の荒波を越えてきた私にとって、今の環境は、砂漠の中のオアシスのようなものです。そして、そこで新しい境地を見出そうとしているのです。