2012年5月21日(八段語録1689)

金師範宅


 広島で合流した金師範と、大阪行きの新幹線の中で、空手道に対する姿勢と、かつて芦原道場で稽古をしてきたことの話を聞きつづけました。63歳で、大阪で定年まで団体役員として事務局長を務めていたという事でした。自宅に到着して驚いたことに、三階建ての一軒家で、その一階フロアーで稽古を続けているという事でした。そして、今回本格的に道場が目の前の土地に建つようでしたが、話がこじれて、今は白紙状態であるという事でした。
 金師範宅に到着すると,奥さんが迎えてくれました。広い道場のような大広間で、焼き肉をご馳走になりながらも、話が尽きないのです。午前一時を過ぎても盛り上がってしまいます。感想として、本当に空手が好きであるという実感を受けるのです。もう空手の話となると夜が明けそうな気がするのです。今門下生が二十数人いて、金師範の教えを守って修練しているのです。夜でしたが、近くの一番弟子が来て、今まで習った技を披露してくれました。とてもきれいな型を持っていたのです。弟子の動きを見ながら、金師範からは笑みがこぼれていました。
 金先生のような指導者がまだ全国には多数いるのです。かつて大山総裁から指導を受けていながら、仕事を忙しいとか、あらゆる事情で空手をする事ができず、このような出会いを求めているはずであると思うのです。朝早く、金先生のお宅を出て、伊丹空港から一路仙台に向かったのでした。金師範の姿は、努力に努力を重ねて、限界を挑戦してきたような人柄を伺い知ることができるのです。多くの体験をしながら、結局は極真に戻るのでした。人生の最後の土壇場で、志した極真空手に再び出会い、その日その日を新しくしてきたのです。
 金師範の話を聞いていると、不安な人生にむしばまれながら、錆びずに、腐らずに歩んできたという思いを察する事ができたのです。今まで、人生の歩みの輝きを破壊し弱めていたようにも思うのです。そして、金師範の心は、今回の出会いで、子供のような純粋な気持で、変わることのないこれからの人生路程が見え隠れするようでした。そして、この手塚グループとの出会いが、最上の出会いであり、最大に輝くようであり、素晴らしい解決策であると思えたのでした。