2012年3月17日(八段語録1624)

母の怒り


 母が真冬でも、健康食品の店に出かけるのです。話を聞くことで、生活用品を貰う事ができるというメリットがあるのです。毎日三か所を回るのが日課になっているのです。もちろん、店側としては、購入させたい商品があるわけなのです。結果母は、毎月何十万と購入するわけなのです。今まで蓄積してきた預金も取り崩しながら購入するのです。その歩みは十数年に及んでいるのです。母が預金してきたお金なので、何も言う事はないのです。しかし、年齢が八十二歳にもなるので、少し控えるべきではないかという気持ちが私にはあったのです。
 母の言い分は、今まで預金してきたお金を、健康の為に使うのだから問題はないというのです。更に、家族でサプリメントを飲むならば、家族全体が健康になるという話ぶりなのです。その事ゆえに、倉庫のように積み上がった健康食品を飲むことに家族はなっているのです。そこで、最近は度が過ぎるのではないかという事になっているのです。賞味期限が過ぎても有り余っている健康食品の山を見ると、何か他の事に意識を向けなければならないのではないかという事になったのです。
 そこで、妻の千順さんが、デイサービスに出かけてはどうかという意見を提唱し、以前に親父が通っていた「三春の杜」という老人ホームへ毎週二回通う事になったのです。そのホームでは、「要支援」から「要介護」のあらゆる段階の人達が通っていたのです。母は、朝から夕方まで、デイサービスを受けていたのでした。二週間ばかり通ったのです。ここは、介護状態が重度の人までサービスを受けているので、重い介護の人達を見るにつけ、姥捨て山のように感じてしまったのです
 そのような事が重なって、事件は突然起きました。母の怒りは、マックスまで達して、どうしてそんなところに送るのだという不信と、親父がとんでもない所に通っていたという事が、分からなかったのかという二つの気持ちをぶつけてきたのでした。妻は、別に母が行きたくなければいかなくてもいいのだと説明はしたものの、怒りは収まらないのです。もう絶対に通わないという事を宣言したのでした。
 そこで私も困ってしまって、「要支援」の人達が多い、中川接骨院が経営するデイサービスに連れて行ったのでした。時間も二時間ぐらいで、運動機能を高めるトレーニング効果を主なテーマにしているので、ここに通うようにしたらという提案でした。母は、怒りを鎮めて、ここに通う事を承諾したのでした。私も最近の母が、歩くにも不自由するような状態が続いていたので、リハビリを兼ねて通うのが良いのではないかという気持ちになっていたのでした。しかし、最終的には、「三春の杜」の御好意があって、母は、父が通ったデイサービスを選択したのでした。
 母の気持ちを考えて対応した結果、元の「三春の杜」に通うという事になったのですが、母の気持ちを、最大汲んでいく事が、必要なのだと感じたのです。母の気持ちになって、同じ境遇の疑似体験をしたから、母は納得したのでした。私自身、母の身になるという事がいかに大切なのかという事を痛感したのでした。年寄りになっても、混迷、思いやりの無さ、偏見の全てを感じたのです。その気持ちを一緒になって感じなければ、母の怒りは無くならなかったということなのです。
 今回の事で、一段と母の気持ちを察して、努力に励むべきだという気持ちになったのでした。今回は、母の気持ちを察する事ができず、失敗を重ねてしまいました。「思いやり」が何であるかという事を尋ねることが、思考の第一歩であると実感したのです。このことで、母に対する「思いやり」という部分を深く学ぶことが出来たのです。今回のような事が起こらないために、良い機会を与えられたと感謝して、更なる親孝行の道を見出していきたいと思ったのでした。