2012年3月16日(八段語録1623)

保護司研修会


 初めて、更生保護学会を立ち上げようとする、福島大学大学院の生島浩教授を迎えての、講演会が、保護観察所二階で行われました。面接についてでした。今の子供達に何を話していいのか分からないという事から話が始まりました。カウンセラーと年齢的ギャップが多いというのです。更に、自分の気持ちを表現する事ができない子供達が多いというのです。その中での、更生保護とカウンセリングの話というテーマになりました。
 講師いわく、更生保護の役割は、白黒をはっきりさせることではなく、あくまでも灰色にする役割なのです。確かに、今の社会では、数的には非行少年は減っているのです。しかし現実的には、高齢者の犯罪が増えているのです。六十五歳以上の犯罪が、五倍以上になっているのです。少年はというならば、発達障害を持っている子供が多くなっているのです。最近の少年はというならば、車を欲しがらないのです。そのような意味では働かせることが難しくなっているのです。このような話からから始まりました。
 講師の話は続きます。ある意味では、今の非行少年は、お金を使わないし、無駄使いをしないのです。更に女の子とも付き合わないケースが多いのです。つまり、非行少年に対して、物で通用しない時代に入っているのです。そして、インターネットで合法的薬物を購入できる時代に入ってもいるのです。医師が処方した薬を、合法的薬物に使っているケースも出ているのです。
 そして、驚くべきことに、非行の原因が家族になっているのです。私達は、原因を置いといて、不問にして、立ち直りの手助けをしなければならないので、大変な役割になるわけなのです。そればかりか今は、子供達の実父母が、引受人になるケースも少なくなっているのです。そのような意味では、非行少年の居場所が無くなっているのです。物理的場所というのではなく、家庭に居場所がないのです。このような話が講師から話されてきました。
ところで、ここが一番大切な事なのだと私は思ったのです。居場所が無いというのが、昔とは違うのです。道場生に対して、考えたのは、道場という居場所があるから、成長するのだという事なのです。道場で迎え入れるという、伝統を作らなければならないと思えたのです。とにかく、非行少年に居場所を提供する事が重要であるというのが講師の、結論でした。
 さらに話が続きました。最近の犯罪やストーカー行為を見ると、自他の区別がつかないのです。そのような意味では、虐待、暴力等、自分の思いと他人との区別がつかない事が多くなっているというのです。ここでも道場生に対しての私達の姿勢を感じました。自他との境を教えているし、社会性や自分と他人との違いを道場では教えていると感じたのです。子供達に、道場で修練させ、人工的に自分と他人の区別をするように礼儀作法を徹底的に学ぶようにすることなのです。このような事を、感じながら、保護司研修会を無事に終えたのでした。