2012年3月4日(八段語録1611)

組手の試合


 極真フェステバルの二日目です。極真会館として、今回は王道を歩んでいる自覚をするのです。というのも、140名の選手全てが、宮城県本部の仙台市内の道場生だけなのです。幼年部から小学六年生までの、初級と上級のクラスに分かれて、極真精神に則った大会を行ったのでした。応援する御両親の姿勢は、大きな黄色い金切り声を上げるわけでもないのです。まして、個人的技術的応援をするわけでもないのです。選手が自分の今まで培ってきた力を静かながら、思う存分発揮できる荘厳な雰囲気が、流れました。
 この大会で注目すべきことは、ご両親や家族が、選手と共に、最初から最後まで、参加し続けるという事なのです。自分の子供が負けたならば、すでにこの大会に用無しという事で、引き揚げてしまう雰囲気はまるっきりないのです。また大会に他流派の師範やご父兄は誰一人といないのです。そのような意味では、子供達の武士道という精神を、高揚する場になったのです。
 大会スタッフも、二面のコートで審判交代する事もできました。さらに、進行責任者がしっかりと記録と時間、選手の招集がスムーズに行われました。混乱する事が予想されたので、一切応援団は、コートに近づかせることなく、セコンドにも誰も付かせないのです。二階の観客席で、祈るように見つめて貰うようにしたのです。選手の家族の皆様には、審判を初め、スタッフが一生懸命機敏に動いている様子と、選手が整えられた環境で真剣に戦っているという状況を見てもらい、充実感を持つ事を願ったのです。最終的な準備は、今回も、菅野師範の指示のもと、北山事務局長の孤軍奮闘の姿が印象的でした。
 今回の状況を見て、誰も道場内の指導者達が、悪びれることもなく、ましてや、偉ぶることもない、極真の「人格者集団」を全御両親と全世界に配信したような思いがするのです。大会の理想が、雑多なザワツイタ環境で、ただ勝ち負けを競うだけの大会ではないのです。武道精神のかけらもない大会との差別化された、格調の高い大会として締めくくることが出来たのです。あくまでも大会は、出場した選手を教育し、人格的に育てる場であるという事を実践したのです。
 私が御両親を初め、全員に向けて話させていただいたことは、このような交流大会で、優秀な成績を収めると同時に、家庭でも道場でも道場生の見本となる人材だけを、他の大会に参加させるようにするという方針を発表させていただきました。選手層も充実してきた道場です。多くの信頼を受けるに値する道場生としての、人格者の確立を願う事に本格的に着手するという事なのです。全ては、手塚会長の願いに一致する戦いが出来たのでないかと全員が思うのでした。
 ところで、今の宮城県本部の現状は、数的基盤は横ばいなのですが、次の指導者にバトンタッチしてから、質の向上は図られているのです。選手層も充実し、学年別の自前でのトーナメントも組むことが出来るのです。そればかりではなく、ご両親の道場に対する教育もしっかり行き届くようになっているのです。この後の課題は、数的基盤の拡大という事になるのです。もちろん、これは新規からの戦略なので、かなりの努力がいることなのです。とても出来そうもないと思える事柄のように思える数的基盤拡大に関して、思い切ってぶつかっていく事が願われるわけです。不安はありますが、やるだけなのです。
 新規拡大は、今後の課題として、スタッフが取り組む内容になります。私が取り組んだことは、外的に数的な事を重要視してきたのです。内部の整理は後回しになっていたことは、いなめません。そして、その課題を、進退をかけて、菅野師範が成功させてきているのです。次の目標は、あらゆる知恵を振り絞りながら、数的基盤拡大も乗り越えていくだけなのです。その為の真剣な戦いが始まるようになると思うのです。それが、スタッフ全体の安定の源になるのです。
 確かに、目の前に多くの困難が横たわっているのです。もう既に、私の身に代わって、役割を果たしていこうとする気構えのある指導者が育ったのです。かつて、三十代前後して、育てた若武者がいました。その若武者もあらゆる人生の経験を積みながら、広島で、高知で、岡山で、東京で大いなる活躍を見せるポーズをしているのです。おそらく、彼らは、若かりし私の姿を、脳裡に焼き付かせているでしょうから、自分の職務に踏みとどまって、義務を果たすために頑張り通す覚悟であると思うのです。あの青春は、悩みと不安を抱えならが、何事も克服した経験があるのです。脇目も振らずに稽古してきたのでした。
 これからも、全国の勇者と共に、何事も試みていきたいのです。もちろん失敗もあると思うのですが、その戦う姿勢は、受け継いでいると思うのです。何も試みない連中とは、まるっきり違うのです。今後の私の決意は、勇敢に立ち向かうべき時に来ていると思うのです。還暦を前にして、あらゆる広大なビジョンが生まれてきています。それを、実践に移すだけなのです。