2016年10月6日(八段語録2923)
勝利の道(7)
対象者A 9月30日 午後二時
保護対象者が、高齢者から川柳を始めて、もうすでに二十年に渡って、書いているという話をしてくれました。長い期間の人生の中で、、保護観察をしている、初めて私に、話したという事でした。それも一週間に一句は書いているのです。ノートを見せて貰ってびっくりです。多くの本を読んで、ニュースを聞いて、歩いて体を動かす運動を欠かすことなく、日々を送っているのです。当時の事情を振り返っても、どうしようもなく、魔が差したという気持という事でした。この保護観察期間を、大事にして、健康を維持して、生命を失うことなく、償いたいという気持ちが強いのです。その為に、しっかりとした口調で面接に臨んでくれるのです。
仮定ではありますが、事故を起こさなければ、町内会長や民生員をしてきたのです。この土地の名士という事で、人生を温厚に過ごすことが出来たという事です。戦争体験・シベリアでの捕虜としての体験、様々な思い出が詰まっているのです。それを少し話してくれるのです。有難い事です。この保護観察期間が満期を以って、全てを清算して、心穏やかに過ごしてもらいたいと願うばかりでした。
戦争中はもとより、戦後の日本をけん引してくれた老人なのです。昔でいう専売公社に努めて、退職してからは地域の役員をしてきたのですから、本当にご苦労様という気持ちにもなります。しかし、過ちは過ちとして悔い改めなければならないという事です。私の保護司としての、公的立場もしっかり守りながら、老人の話に聞き入っているのでした。それにしても、罪を犯したことで、自分自身を差し出し、反省しながら反問している姿のように思えるのです。保護観察期間も、あとわずかになりました。指折り数えている対象者でした。
対象者B 9月25日 午後六時
真っ黒に日に焼けた顔を出してくれました。精神的にも充実しているようです。米沢の少年院からの観察期間ですから、冬・春・夏・秋という時期を一緒に過ごした事になります。
仕事が楽しくて仕方がないという事です。それで、自分で進んで、夜勤の仕事もするという具合なのです。昼夜問わず働いて、それでも充実しているのです。それも、自分の好きな車を購入するという夢を持っているのです。また、アパートで独り暮らしをする夢、仕事以上に夢を追うような気持ちが強いようです。そして、その合い間に、友人と居酒屋でお酒を飲むという機会を持っているという事でした。このとてつもない悪循環の人生から、更生施設を経て、確かな生き方を実践しているという事です。
職場の社長にも信頼され、責任をもって仕事をしているので、疲れるけれども楽しいという事でした。話を聞いていても、安易な生活を望んでいる様子ではないのです。チャレンジして、車を買ったり、独立したりという事がテーマのようです。私の説教も、真剣に聞いてくれます。私の人生の事を話すと、何か、自分でもできるように思うようです。それでも、老婆心で、世間は激しい荒波が渦巻いているという事、そして、それと闘う時があるという事、様々な説教をさせてもらいました。そして、どんなことがあっても、自分の犯した罪に真摯に向き合って欲しいのです。これから変わってはならない心をつかみ、一兵卒でいいから、まじめに歩もうと締め括ったのでした。