2016年9月3日(八段語録2894)
愛情(4)

対象者(C) 7月10日 夕方六時
 保護観察を始めて四か月になります。仕事が楽しくて仕方がないと話をしています。真っ黒に日に焼けて、逞しくなっています。性根はまじめで、やさしく、一生懸命な青年です。罪をおかしたことにたいする、後悔の念を抱いています。それでも前向きに、仕事を熱心にしているという事です。両親も一安心という事です。両親は、施設に送られた時は、動揺もしたようでしたが、今は独り立ちする息子を見守っているという所です。施設での教育が効果的に発揮されているようです。近くのビルの解体工事に従事していたのです。本人はとにかく、仕事がしたいという事で、仕事漬けの毎日を過ごしています。話を聞けば、友達と会話を楽しんで、仕事一筋という事です。気持ちと身体で取りかかっている仕事なので、やりがいを感じるようです。生意気な態度はすっかり消えて、とてもまじめな青年になっています。問題は、何か愛に飢えていたという事が、自分を見失ったように表現していました。独り立ちする前の青春の門が、少年院であったようです。仕事に熱中することで、寂しさも忘れて投入しているのです。勤務している社長とも人間関係がとてもよく仕事は続きそうです。面接を繰り返して思う事は、犯罪を犯す前に、未然に防ぐことが出来たらよかったという事です。善悪の判断をしっかりして、間違った行動を取らなかったら良かったのにと悔やむ思いがします。それでも、結果犯罪に至ったのですから、これからスタートという事です。
対象者(C) 9月1日 午後八時
 今の仕事をしっかりしています。通常と夜勤の勤務をこなして、八月は四十万円の収入になったと言っています。これからも続けたいという事です。そして、今までの借金を返すところまでになった言っています。また、今年の四月に免許を取ったこともあって、フォルクスワーゲンの車の購入の予定であると言っていました。更に、自分でアパートを借りて、独立したいという事でした。気持ちと、行動が一致しているようです。お金を貯める意味をしっかりつかんで、仕事をするという事に、熱心になっています。連絡・報告もしっかり保護司の私にしてくれます。包み隠さず、現状を話す姿は、頼もしささえ感じるのです。少年院で面接した時よりも、いっそう逞しくなっています。それでも老婆心ながら、チェックをするように、犯罪に対する反省、そして決して罪を犯してはならないという事を本人の前では説教です。親身に聞いてくれます。今回の犯罪が、本人を戒めているようです。できれば、この保護観察期間だけでなく、社会人として続いて欲しいと願うばかりです。帰り際には、本人から、今度の面接の日時の確認がありました。意識して、この期間を過ごしているのだという事を感じたのです。もちろん、長い期間になりますから、欠点を指摘する事もできるのですが、今は、仕事に熱心になっていますので、見守ってあげたいという気持ちになります。