2016年8月11日(八段語録2867)
決断(11)

 一緒に保護司活動をした先生が、突如天に召されてしまいました。六十九歳の若さでした。同じ地域で、十五年の間一緒に歩んできました。今日は、亡くなられて、葬儀会場で通夜の一時を持つのです。私は、参列しながら、先生との思い出が、走馬灯のように浮かんでは消え、また浮かぶのです。一緒に地域の為に、貢献した事ばかりです。安らかに、これから天がお守りくださいと願うばかりでした。先生は、私からしても、天職としての保護司であったと思うのです。今年の春に叙勲を受けられ、これから益々活躍が期待されたところでした。確かに偉業を十分に果たしたのです。それでも、まだお若いという年齢なのです。決して、疲れ果てた顔など、日々の姿として一切見せることなく、たえず柔和なお顔をされていました。全く、倒れるような様子など、伺い知ることは無かったのです。先生は、三十五年の間、保護司活動に、邁進してきたのです。もちろん、地域の商工会の会長も、防犯の会長もされたのです。通夜の日には、地域の方々四百名で、通夜会場は埋め尽くされました。それでも、多くの人達は、会場に入りきれなかったのです。そして人々は、口々に役割をしっかり果たして、天に召されたと話していました。
 もちろん、まだまだ活躍して欲しいという願いは、参列者全員の気持ちでした。この先生は、頼まれたならば、断らないのです。どんなに忙しく、自分の事情をお持ちでも、快く受け止めてくれたのです。そして、地域の行事には必ず、皆さんの中心に共に居られたのです。町内に対しては、何事も無関心ではおられない方でした。酒屋さんの仕事をしながらも、町内を抱いて、過ごした人生であったのです。そして、その歩みは、強く、逞しいものでした。通夜に参列して、天に召された遺影を見ながら、物悲しい気持ちになるのです。それでも、ご苦労の全ての、心情を慰労してくださいと、祈る思いになったでした。すぐにその場を立ち去る事が出来ず、通夜振舞いに参加して、在りし日の先生を思い出し、御親戚や地域の人達と語り続けたのでした。
 ところで、通夜振舞いの時間、同じ気持ち、同じ心情で過ごしたのでしたが、残されたご遺族の方々にとって、悲しい事ではありました。、それでも、故人の残された気持ちを継承して欲しいと思えたのです。私としても共に活動した立場の者として。残されたお役目をしっかり継承しようと思ったのです。更に、私の生涯が終わるまで、地域の為に貢献して戦い抜こうという気持ちにさせられたのでした。この地域に留まることなく、広く貢献し続けなければという気持ちにさせられました。無償の愛情で、地域の為に貢献する人が存在し、その方が、この場で尊敬の念を持って、来世に送られていくという事を、目の当たりにさせて頂きました。一緒に地域の活動と、保護司活動をさせてもらった者として、この同じ地域の生活環境の中で、役割を受け継いだのです。故人の思いを悟って、恩賜の炎を抱いて、松明のように、決して消すことが無いようにしていきたいと思うのでした。
 この世とあの世の距離は出来ました。しかし、離れていたとしても、先生が見守って下さって、足らない私としても地域の為に活動する事が出来るように、来世から、生命的動きの信号を送って下さるように願うばかりです。確かに色々な思いが去来します。この地域を見守って下さるようにと願って、会場を後にしてきたのでした。