2016年6月20日(八段語録2815)
熱望(12)

 審査会が終了して安心する事も無く、次のステージへと向かっていかなければならないという事を、決意するのです。しかし、身体は風邪気味で、喉が腫れて、声も出にくい状態になってしまいました。少し動いただけで、肉体は消耗しますし、気持ちが乗りません。そうでなくても、スーパーマンで無いので、シドロモドロという事なのです。アンバランスな心身の状態です。
そのような時に思い浮かべるのは、剣豪宮本武蔵であったり、人生の達人であったりするのです。何を求めるかというならば、心身一体の理想の存在になれたらという欲求が生まれるのです。「このようなひ弱な存在であるべきではない」と勝手に思うのです。少し意地を張るのですが、それもどうやら限界に近付いて、唸って寝込むばかりになる訳です。剣豪宮本武蔵の心境と、自分の心が通ずるような境地に、立たなければと思うのですが、肉体には肉体の法則があるようで、意気消沈になってしまいます。
 人生を生活する生き方から、修行者としての生き方に、チェンジしたものですから、あらゆる万難踏み越えてという事なのです。思うようにはいかないようです。ところで、私の気持ちには、修行者としての高いレベルの境地を求めようとするのです。それが、現実には、風邪で寝込まんとしているのです。これは、違うと否定するのですが、もがけば、もがくほど、身体の器官が悲鳴を上げるのです。
いつもこのような、肉体と心の葛藤の闘いに置かれているのです。私は武道家としての自負心を持っていますから、肉体と心の葛藤に終止符を打って、健康な状態に戻ろうとするのですが、焦れば焦る程、肉体が衰弱していくのです。結局、唸り声をあげて、布団に一昼夜汗びっしょりになって、過ごすのです。家族は、かなりの迷惑という事です。静かに直せば良いのですが、心で焦るあまり、無駄な抵抗が、身もだえという現象に、繋がっていくわけです。
 ところで、このような姿勢になるというのは、自身の志を収集して、早く勝ち取ろうとする意識が強いという事なのです。闘いの勝機の機運が近づいているという気持ちになる訳です。高齢であるという事も忘れて、闘っていこうとする気持ちだけが焦るのです。このような努力する心を、大切にしようとするのです。このような気持ちは億千万金を貰おうが、失いたくない心と思っている訳ですから、始末に悪いのです。病院に行けば、医者からは安静にしなさいという事になるのですが、闘うだけ闘おうとする気持ちが旺盛になる訳です。しかるに、隣にいる妻に迷惑をかけるだけでなく、子供達にも心配をかけてしまうという事になってしまうのです。
 本人としては、困難な時だからこそ、立ち上がっていくという姿勢なのですが、家族にとっては迷惑な話です。昔ながらの気質なのでしょう。自分を追い詰めるという事に関して、美徳と感じているのですから、迷惑千万という事です。若い時ならいざ知らず、還暦を過ぎてからでも、このような状態ですから、妻からは、かなりのバッシングなのです。それでも本人は、極真空手道の最高の境地を目指していくという信念なのです。それを栄光が秘められている歩み方であると思っているので、お互い大変になるという事です。風邪で弱り切った体に鞭打って、明日に向かおうとする心が、健在という事でしょう。妻に怒られますが。