2016年4月4日(八段語録2738)
誰の為に生きるのか
少年A


 三月十六日 少年院から出所してきた対象者が保護観察所で面接を終えて、午後には、保護司の私のもとにきました。今後、父の仕事を手伝って、日銭を稼いで、山形市の自動車学校に来月十三日から合宿に参加するという事でした。旅行許可の申請をするという事と、自動車学校の入校証明書の話をしました。これから、社会に出るという事ですから、心構えを話していたのですが、身体が疲れている様子で、早く帰りたいと、母親を突いていたのが印象的でした。もちろん、私も気にしたのですが、話すべきことは、しっかり話さなければならないという気持ちで、きっちり一時間、順守事項守って、生活するように細かく話させていただきました。話の基本は、もう自己中心的生活で無く、誰の為に生きるかという気持ちを抱いて、また犯罪に走ることなく、生活するようにという指導をしたのでした。
四月三日 今日は本人一人で面接にやってきました。自動車学校の入学手続きが終わったという事で、十三日から入学が決定したという事でした。違反が重なって免許取り消しになっているという事なので、慎重に車の運転には携わるようにアドバイスしたのです。そして、今までのように個人を第一とするのではなく、ちょっと心の視野を広げて、家族の事、友達の事を大切にする気持ちから、対応する人生であるように話したのでした。本人は元の職場に戻ろうという意志があるのです。今日は先回の面接と違って、時間を気にすることも無く、聞く耳を持っていました。大切なものは、家族であり、その事を意識して、自動車学校に出発してくださいと、励ましたのでした。 
成人B
 三月十七日 民間の老人ホームに入居して、もうすでに一年近く経過しようとしていました。話をするというよりは、話を聞くほうになっています。落ち着いた老人ホームなのですが、なかなか散歩に出ていくこともできないので、自分で階段を歩いて、運動することによって健康を保ちたいという事でした。息子と正しく話すことができたら、幸せであると話すのです。息子が訪ねてきて、暴力を振るわれることもあるという事でした。季節も良くなって、汗ばむようになったという事です。施設から出所した時の話をしてくれます。施設で表彰を受けた事、一生懸命頑張った事、様々話してくれるのでした。
三月三十一日 今日は、どのようにして、犯罪に至ったかという事を詳しく話してくれました。根底に息子も同じような気持であったから、息子が罪に至らないように、結局は私がとんでもない事をしてしまったと後悔する話をしていました。そのような核心に至る話をしてくれたのは、一年経過して初めてでした。いつの間にか、信頼してもらえるような保護司になってきたという事でしょう。一緒に同情しながら、話を聞きました。それに対して、どうのこうのと評価は、私からしませんが、本人が一番自覚しているようでした。私にできることは、愛情で包んで話を聞いていくことだけです。それでも、快く迎えてくれて、最近このように話してくれるようになったことに、安らいでくれているのだと思うのでした。