本部長通信160 2008年4月23日
人生転換(8)
師範が、道場生に武道精神を教えることは実に難しいことです。道場生は、教えてくれる教師を見つめます。そして、あの師範のようになりたいと心の中で叫ぶのです。道場生が指導者を見習いたいという気持ちは、技術指導や稽古だけでは感化されないのです。人格で教化するのです。
それゆえ、どのようにして教化されるかというならば、慕われて初めて、道場生が誇りに思うことができるのです。あのような先生になりたいと思うところまで引き上げなければ難しいのです。師範の気持ちを道場生が慕えば、すぐに感化を受けるのです。嬉しい時には嬉しい影響を及ぼしますし、真剣な時は真剣な影響を与えるのです。
そして、師範は、道場生に信じられる指導者へと人生転換していくのです。結局師範は親代わりになっていくのです。先生と道場生が慕う気持ちに触れ合う時間はどんなに幸せな時間として過ごすことができるでしょうか。
師範が教えている空手の型に、道場生はまねします。そんな姿を見ると、師範を信頼しているがゆえに、無条件に心の中で融合していると思えるのです。そこで深い先生と生徒の絆が結ばれていくのです。不思議です。信頼関係は全てを飛び越えて指導者と道場生が一致しますし、距離とか空間とか時間の支配を受けないのです。