2011年12月1日(八段語録1517)

積極的人生観(90)
 極真の原点を考える

 一般の審査会が行われます。午前中は、親父からの引き継ぎの手続きをしていました。遺族年金の手続きは、相当面倒で、書類の一つが不備であると、突っ返されてしまいます。役所仕事ですので、正確さが問われるのですが、年齢を重ねた母が直接手続きすることは、難しいのではないかという印象でした。私が代理で窓口に行った事は正解でした。公共料金の手続きも済み、しっかりとした二代目の準備が整い始めたところなのです。
 次への森家の舞台を準備しなければならないのです。その為にも、母にしっかり元気になってもらわなければならないのです。私も将来を見据えて、個人から家庭そして、極真会館手塚グループのプランニングを練るべきなのです。そのような思いを感じての月初めに、一般部の審査会なのです。国見教室を七時半過ぎに出て、審査会上に到着したのが八時でした。
 審査を受ける道場生が三十名余りと、手伝いに来てくれた道場生でごった返していました。私が到着した時は、すでに基本と移動そして型の審査が終わっていましたが、組手の審査のみを残していました。テキパキとした進行で、組手の力量が一人ひとり試されました。十分に戦えた人、何か課題を残した人、様々でしたが、今回の審査は、一般の女性が多いという事でした。象徴的に黒帯に挑戦した人が飯富さんで、レディースの先駆者のような立場の人です。最後まで極真の道を貫いてほしいと願うばかりなのです。
 かつて、一番町の道場が出発した時に、やはり数人の女性が中核となって歩んでいました。彼女たちは一生懸命稽古をしていたのです。しかし、私の指導を受けていたはずなのでしたが、少しずつ方向性を失っていったのでした。子弟の関係が形式的なだけになったのです。それだけでなく、振り回され始めていました。他の流派の男性に誘惑されて稽古を断念した女性もいました。内部の優秀な男性を誘惑して離れていった女性もいました。道場のオーナーに媚び諂って、私を飛び越えていった女性もいました。時代は過ぎて、寺子屋のような時期に、大学に社会人入学を果たせるように、道場生全員で応援した女性も、いつしか大学に巻き込まれて極真空手を軽視していったのでした。修業半ばで倒れてしまった女性達を思うと、残念で仕方がないのです。
 しかし、今回の審査を受けた女性達には、大きな期待を抱いているのです。先の女性達が独身者であったのでしたが、今回受審している女性は、道場生の母親が殆どなのです。しっかりとした家庭基盤を持ち、子育ての支柱を極真空手に委ねたのです。私も先回の指導者として、駆け出しの時の過ちはしたくないのです。生涯極真の道を全うしてくれる女性達であってほしいと願うばかりなのです。極真の修業を最後まで全うしてくれる女性を望むことは、私の生涯の課題であると思うようになっているのです。
 ところで、今回の審査で最後に私のメッセージを残しました。手塚グループの核心に迫る内容なのです。もちろん夢と希望を掲げて話したいと思っていたのですが、結局、語った内容は、二つの課題の克服であり、戒めでした。
 一つは、人類歴史が戦争と闘争の略奪を繰り返した内容であるという話から、戦いの歴史の終結を宮本武蔵が、会得した人を生かす剣を目指そうという話でした。私たちは、仏の道と違って、禅の動かない瞑想する修業をするのではないのです。人類の闘争の歴史と同じように、戦いの真似事をするのです。それは表面的には人類罪悪歴史と同じように見えるのですが、戦いという組手の中の精神はまるっきり違っているのです。人を殺すのではなく、人を生かすための戦いを始めるのです。礼に始まり礼に終わり、互いに切磋琢磨し命懸けに技を出し合うのです。戦いを極めて信頼でお互いを包み、尊敬しあうと同時に自らの精神を高めるのです。この精神が社会貢献に活かされると確信しているのです。
 二つは、この道場には、男性も女性も集うのです。その結果、良き家庭を築き上げることができるような人間関係を作っていく事が修業の道と説くのです。仏様の道は、修行僧は男性でも女性でも独身を貫くのです。理由は様々あるのでしょうが、煩悩を排してという事なのでしょう。これも、最近オリンピックで金メダルを二個取った武道家が、教え子と、いかがわしい関係を持ったというのです。それも合意であったと主張しているのです。おそらく、その人は、家庭を持っているのでしょう。そのような男性が教え子と性的関係を持つことによって家庭を崩壊させていいのかという事を話したのです。私達の道場では、決して家庭を壊すような関係を持ってはいけないと指導します。良き家庭を作っていく環境にしたいのです。男性が女性を、女性が男性を尊敬できる関係を道場に構築すべきであると話をしたのでした。そして、家庭ごと良き付き合いができて、生涯極真の道を全うすることができるようにという夢を持っているのです。
 そのような話を審査会の終了のあいさつでさせていただきました。道場で育っていく青年達も、家族という理念で育っていくとするならば、将来は、良き夫、良き妻となっていくであろうと思うのです。それが、私がこの道場を発展させようとする原動力となっているのです。