2015年9月16日(八段語録2537)
紆余曲折はいつもあるもの

 起床、3時、相模湾に四時半到着、ここは小坪漁港です。洋征丸に二十数人乗り込んで、いざ、マグロ釣りに出かけたのでした。今回会での企画という事で、友人と一緒に参加しました。相模湾で東京から一時間もしない所でマグロ釣りができるとは夢にも思っていませんでした。出航は6時、平日にもかかわらず、釣り船が二十隻以上出船していました。湾内という事もあって、波は穏やかです。伊豆から熱海まで海岸線が見えます。あいにく、雲がかかって勇壮な富士山を仰ぎ見ることはできませんでしたが、その相模湾で、マグロを追って、船が右往左往するのです。決して、一か所でゆっくりするという釣りではないのです。理由は、マグロが回遊するからなのです。そのマグロを魚群探知機で見つけ、その行先の先回りをして、糸を垂らすという漁法なのです。私の竿、道糸、仕掛けは洋征丸で準備してくれました。
 さて、ここでの私は、船の後部に陣取って、朝からこませを蒔き続けたのでした。何度仕掛けを海に投げ込んでも、当たりはさっぱり出ないという有様です。午後三時まで、実に九時間も投入し続けたのでしたが、大物のマグロの獲得には至らなかったのでした。洋征丸に乗り込んだ太公望の中で、三十キロを超えるマグロ二匹と、二十キロ前後のマグロ二匹の釣果を得ましたが、私の竿には何とも反応がありませんでした。周りで大物が釣れて、私が釣れないという事に対するやり切れない気持ちが,闘争心となって現れます。そこで落胆はできないので、谷を越えるように、次回はマグロのゲットを睨むのでした。
 かつて、数年前に宮古島でマグロ釣りに出かけたのです。その時は、マグロとカツオをゲットするという事で、一日中太平洋の真ん中で釣り糸を垂らしたのでした。最後に近くなった時に、私の竿にマグロが掛かってきました。格闘二時間余り、六十キロのマグロを船に上げることができたのです。その気分を復活させて、この釣れなかった一日を乗り越えるしかないという結論に至ったのでした。その時は、私だけがマグロをケットしたし、その恩恵は、密に酔った時のように、喜ばしい気持ちになったものです。過去そのような体験がありますから、今日が稜線的に谷間にいると思ったら、あとは釣れて喜ぶだけという事ですから、大きく悟って、この悔しさを晴らそうとするのがいいと思うのでした。何事も、自分の行くべき道において、良い事ばかりではないという事です。
 そんなこんなで、マグロの釣れなかった悔しさを胸に秘めながら、ちょっとした会議に出席してから、高速道路を仙台に向かって、愛車プリウスを走らせました。今、極真会館宮城県本部で日常行っていることは、会員になってもらい、そのようになってくれた道場生を、教育して立派になってもらうということですから、どちらかといえば、漁師よりも農夫というところでしょうか。人を育てていくのですから、養殖のようなものです。それでも、今日のような刺激を受けると、もっと人を成長させるには、どのようにしたならばいいのかという思いが浮かんできます。極真会館での道場生の成長であれ、今回のような大物釣りで在れ、何事も落胆することなく、理想を追いかけるという気持ちを持ち続けていく事の必要性を感じるのでした。