2015年6月3日(八段語録2433)
再びカザン市へ

 ボーガル村から別れを告げて、再びカザン市に向かいました。今日は、曇っているので、ちょっと肌寒く感じます。穀倉地帯がパノラマのように続きます。一本道で、真っ直ぐ続くので、少しでも、居眠りなどしたら、正面衝突しかねないと思えるのです。そして、スピードもかなり出しているので、危険極まりないように思うのです。それでも、前の車を追い越しながら、カザンに向かっていきました。ボリス師範は、BMWの四輪駆動のかなり高価な車に乗り換えていました。この車で、十日もかけて、シベリアまで行ってしまうほど、車の運転が大好きという事でした。途中、ガソリンスタンドで給油しながら、カザン市に到着です。カザン市は来るたびに、発展しているのです。もう路上を走る路面電車も無くなっていて、地下鉄が走るようになっているのです。十年に満たない間に、このように都市が変貌していくのですから、資本主義の流れが、急速に浸透しているということなのだという事だと思えました。
 さっそく、夕方までに、泊まったホテルに到着です。カザンの責任者が数人、駆けつけてきてくれました。食事をしながら、ロシアの状況を聞くことができました。やはり、大人は、仕事が忙しく、なかなか集まってきませんが、子供が増えてきているという事でした。日本の状況に追いついてきているように思えました。十年前にポーランドで出会ったメンバーばかりなので、懐かしく感じるのです。もう既に、友好関係が長い間続いているという事を、回想するだけで、友人以上の同士という気持ちになります。そして、ボリス師範の弟子であるので、謙虚に従順に接してくれるので、これも気持ちが良いのです。時は流れ、都市は発展しても、結んだ絆は固く結ばれているという事を、お互いに感じているということです。
 会長はというならば、肉体にむち打ち、困難な状況でも、カザン市を訪れようとする強い意志を持っているのです。ホテルの部屋でも、トイレから立ち上がることができない状況でも、私に電話をして、サポートを頼んで、力強く前進しているという根性を見せてくれるのです。その凄まじい執念が、今の世界をまとめるような状況まで来ているのです。考えれば、数人の支部長達との縁を切って、一人世界を回って、基盤を築いてきたのです。他のグループから揶揄されながら、それでも、歩み続けて来たのです。ヨーロッパの基盤、ロシアの基盤、アメリカの基盤、日本の基盤、しっかりと根付かせようとするのですから、大した人物であることに間違いはないのです。
 当然、私たちのサポートは欠かせないのですが、私自身、小さく纏まるような、発想にはならない為にも、実に大いなる夢を追いながら、世界の極真を夢見る会長がいるからという希望を持つのです。決して、経済的な収益を求めて歩むのでなく、多くの人の極真空手による幸福感を達成してもらうための、極真空手の伝道者として、歩むのですから、有意義な生き方を学んでいるということです。人に押し付けることをせず、自分のすべてを投げ打って、戦う会長を見習いながら、歩めることに感謝ということです。そして、私はというならば、現実的に、石橋を叩くように渡って、理想への発射台となろうとしているのですから、これからも、大事な役割を演じなければならないと思うのでした。
 話はちょっと変わるにですが、ロシアは鉄のカーテンを引いて、自由諸国との交流がされなかったのでした。それで、急速な発展に道場生も驚異の目を傾けているように思うのです。この自由に飢え、情緒的な事や、極真空手もペレストロイカ以降伝承されてきたのです。そのような意味では、高い道徳的な義務というは、当然のこと、「資本主義の洗礼を今浴びているという所なのだと思うのです。そのような意味でも、私達の言動は大きな影響力を与えるのは間違いないのです。アメリカナイズするような事は一切してはならず、正しい武道精神を指導すべきであると痛切に感じるのでした。最近、離婚がロシアでも増えているようですが、家庭としての典型を示し、父母と子女は愛と尊敬で、夫婦な相互信頼と愛を基盤として一つになって暮らす家族の姿を示すということも私達の役割であると感じるのでした。