2015年6月2日(八段語録2432)
ボーガル村での空手指導

 ボーガルの村は、明るく晴れ渡っています。真夏のような天候です。湿度が高くないので、過ごしやすいのですが、午前中には、気温は三十度にはなっているのです。この村は、最近ユネスコの世界遺産に登録されたという事で、六階建ての近代建築の資料館ができたのです。さっそく、訪れることにしました。ボルガ川の畔の雄大な場所に位置していました。ここの歴史は、7世紀から始まるという事で、ハンガリーから分裂して移住してきたということです。城壁を囲み、50万人の人達が暮らしていたとのことでした。その後、蒙古の襲来があり、また、様々な戦いがあって、今に至っているということです。まだまだロシアは観光には力を入れていないようで、これからが本格的な観光名所を目指すという所であると、ガイドの女性が話していました。
 午後かららは、村の体育館に道場生が四十人程集まっていました。ここの責任者ラシードが足に障害を持ちながらも、指導をしているのです。村では、子供達に空手を教えているという事で、大変有難く思われているようでした。もちろん、村の名士ということです。一時間あまり、空手の基本や組手のちょっとした動きを指導しながら、楽しい時間を過ごさせていただきました。空手がカザンから200キロ以上の村でも、多くの人に愛されているという事に感動もするのです。子供達は、とても可愛いというのが印象に残ります。話を聞くと、いじめられることも無くなったという事で、ご父兄の方から感謝されることが多いという事を聞かされました。
 夕方からは、会長とボリス師範との打ち合わせが行われました。当然、ボリス師範は、会員証の発行や、会員拡大に力を注ぐので、現地で会員登録ができるようにして欲しいという願いを提案したのですが、会長としては、金銭問題ではなく、会長が自分で写真と名前を自分が会員証を作成して、愛情を注ぎたいという意思をはっきり話していました。ボリス師範も納得していました。私からの発想は、極真会館手塚グループに所属して空手道を行っているという帰属意識を持つためにも、日本で会員証を発行するということが良いという、補足をさせていただきました。
 夕食は、現地の指導員ご夫妻と、私達で和やかな会話を楽しみました。もちろん主張することは、家族を大切にするために、空手はあることや、家族を崩すことや、人の迷惑になることをしないという、健全なグループであるといういとを強調していました。どのように映ったのかはわかりませんが、空手の伝道師という事と、高い精神性を指導するグループであるという事を理解してもらったのではないかと思ったのでした。
 今日も、あまりにも素晴らしい、そして人の美しさに圧倒される経験をしました。この村を抱きたい思いにさせられます。喜びの出会い、心情的な出会いになると、日本とロシアが一つに抱かれるように思うのです。このような興奮は、現地に行ってみないとわからないものです。二つの国が、極真空手道を通じて一つになるということですから、二つの国をつなげる中心軸があるということです。これがまさに極真空手であるということなのです。もうすでに、二つの国を温めてくれているようです。もう言葉でもって十分に言い尽くすことはできないと思える程でした。すべてが充実して、完全に満たされる気持ちです。今の私は完全に幸福なものであると感じるのでした。そして、ラシードは、この極真空手の理想を何倍にもして、実体化していくと宣言してくれたのです。もう既に、距離を超越しているのです。そのスピードは光の速さに比べることができないのです。最も早く、最も明るく、最も満ち足りているという実感です。このような奇跡は、ただ極真空手によって可能になったという思いでいっぱいになります。