2015年4月16日(八段語録2387)
父兄へ苦言

 今の学校教育は、競争して勝った者が幸福を独占する、勝者独占社会を作ることに焦点をあわせられているという気がするのです。それは正しい教育かという事になります。教育そのものは、日本国民が共に豊かに暮らす社会を構築するものです。国民主権という事を考えただけでも、教育の理念と方法は、利益追求だけの教育という事になれば、弱者は救われません。人々が幸せに暮らすという事にならなければならないのです。私達のグループに携わる指導者は、一人が裕福に暮らす方法を教えるのではなく、社会のあらゆる諸問題を解決する知恵を指導しなければならないという事です。もちろん、私達極真会館の空手の理論や優越性を誇るように指導するのではなく、人々は一つの家庭だという平和の基本を道場生に徹底的に教えなければならないのです。
 さて、我が母校である東北学院大学の掛け軸に知恵の中の知恵は、神を恐れることであると書かれていました。ですから、二十一世紀の科学技術の最先端が発展していても、神に対して恐れおののくような謙虚な姿勢が問われるというものです。したがって、私達の人生の目的も正確に捉え、今すぐに利益追求だけの醜い争いは止めるべきです。私の経験で、体面を優先させた自尊心の争いも終結させ、葛藤と憎悪に染められた過去の日々を清算し、平和をもたらす努力は必要であるという事です。極真会館手塚グループの歩みは、平和の為の努力ですから、いくらやっても終わりはないのです。その一端を担う指導者の皆様は、自分が極真精神を担ったものであるという事を、片時も忘れてはいけないという事です。
 ところで、最も高度な教えは、家庭についてです。まず、夫婦がお互い信頼し愛情を持つことです。これが、実に難しいのです。そして、お互いの心を傷つけない事です。そして、子供達を間違った道へ進ませないようにすることです。さらに、お互い家族が激励して、協力するという事になります。このような事を結婚式の時には意識したと思いますが、このような当たり前の発想を続けて生涯を送るという事です。これは、男女問わずとも大事です。人間らしく、正しく生きる為に、そして健全な家庭を守るために指導者は自らを正して、空手道と共に教えてください。私は青春時代から、フリーセックスの嵐が吹き荒れて、社会が言葉にならないくらい混乱した時代を送りました。高度成長は、青少年の純粋な心を破壊したと思うのです。美しく育つべき青少年が覚せい剤に溺れ、結局は犯罪の沼地にはまっていったのです。立派に教育を受けたはずの青年が一人、二人とダメになっていたという事です。
 結果、どのように推移したかは自明の理です。特にご父兄に言いたいことは、家庭は子供を守る砦なのです。子供を育てていくうえで、一番大変な時期は思春期なのです。母親の犠牲と奉仕の精神があってこそ、守られるというものです。世の中がどのように乱れようとも家庭という基本は変わらないのです。特にはっきりご父兄の方に言います。大人たちの不倫と性道徳の乱れは、家庭を破壊し、子供達を駄目にしてしまうのです。このことは、両親として、しっかり心に刻んでください。子供だけが、空手道場に通えば良いという話ではないのです。