2015年3月24日(八段語録2363)
宮城県本部を成長させるための提言

 道場の基盤拡大というのは、単純に言えば道場生が増えるという事です。全国の道場においても大きな関心を持っている課題であり、研究を重ねて取り組みがなされていることです。私としては、画期的な方案を掲げているつもりですが、理解している人はどのぐらいいるでしょうか。それは、一言で言えば、川の流れのように淀みのない教育ラインを築いていくという事です。どこかで淀んでしまったならば、発展はありえないという事です。
 第一に考えて欲しい事は、私の権限を現場の菅野師範に譲っているという事です。これは何を意味するかというならば、指導者独裁ではなく役割を菅野師範に任せ、今いる道場生の成長を促すという事です。そして、未だ人の話を聞けない指導者を一掃するという事です。私の話は聞けても、菅野師範の話は聞けないという事を言うようでは、武道精神と離反するという事です。この戦略をもうすでに六年以上の歳月をかけて熟成してきているのですが、どれだけ理解して菅野師範につき従っているかという事です。これは指導者の成長に欠かせない事です。
 第二に手塚会長が良く言われていることですが、タレントに基づいた貢献という事です。道場生は性別も年齢も違います。ましてや道場生の取り巻く環境は一人一人違うのです。道場生が各々ストーリーを持っているのです。得意なものを生かして道場に貢献していくという姿勢が問われるという事です。道場生の能力をどのように発揮させていくかは、指導者の手腕が求められるところです。現状は、指導者が未熟なせいで、一人一人の能力を発揮させず、皆に同じことをさせるという事です。これは問題です。稽古の流れが一緒であろうと、一人一人の能力を発揮させて、活用させていくという事が必要になってきます。
 第三に、道場における熱心な稽古です。ここで問われることは、何に熱心かという事です。厳しい稽古をすればいいという事では決してないのです。一人一人を思いやるならば、一番愛情を注いでいるのが指導者でなければならないのです。稽古の姿を見て、課題を即座に見抜き、解決の方向に指導できるかという事です。つまり、心身共に活性化させることができる指導能力が必要になるという事です。
 第四に、機能的な組織構造になっているかという事です。初級、中級、上級、選手クラス、一般部、指導者と役割分担が適切で、各部門の指導者の関係が良好であることが願われます。ここで考えなければならない事は、官僚的で非効率的な組織になっていないかという事です。自分の教室だけを考える縦割り的な、融通の利かない組織になっているとするならば、これも問題です。
 第五に、生き生きとした教室の形成をしているかという事です。稽古がしたくて仕方がないという雰囲気作りをどれだけできているかという事でしょう。つまらない稽古、感動が無い稽古、工夫のない稽古、喜びが無い、ダラダラとした稽古になっていないかという事です。稽古が長く感じるような教室ではどうしようもありません。
 第六に、道場生に対して、帯が上昇するにつて、帯にあった存在にならなければならないという事です。つまり、多機能的にならなければいけないという事です。稽古だけをすればいいというのではなく、生活全般に渡って面倒見てあげられるように努力させなければならないという事です。これが、試合だけに出場して、自己満足だけで終わるようになってはいけないという事を徹底的に指導しなければならないのです。
 第七に、ニーズをしっかり捉えて指導者は検討すべきです。来ている道場生が何の為に道場に通っているのかを明確に把握すべきです。道場生は、一人一人課題が違うのです。それで、どのようにアプローチをするかという事を、稽古の前から真剣に検討する指導者でなければならないのです。自分の好みの道場生だけを、「えこひーき」するような指導者では、崩壊は近いという事です。
 最後に、信頼溢れた教室を目指してください。指導者と道場生、道場生と道場生が信頼関係を密にしてください。もちろん、ご父兄の方とも同じように信頼関係を結ぶようにしてください。さて、この八項目で、一項目、10点満点で計算して、何点になるか検討してください。そうすることによって、これからの宮城県本部の発展があると思うのです。指導者は特に、自分の教室が病気なのか、健康なのかの判断になると思うのです。今日は、夜、佐藤指導員、三浦指導員、森指導員を前にして少し話してみました。かつて、菅野師範に話した何千分の一の時間でしかないのですが、理解していただいたかというかは、今後の結果でわかるのではないかと思っています。