2011年10月31日(八段語録1486)

積極的人生観(59)
 カザン四日目

ホテルに帰ってからなのですが、体調が思うようにならないのです。熱が上がってきました。下痢もしたのです。熱が上がるという事は、思わしくない状態という事です。昨日の大会で主賓席に座っていたのですが、会場が冷蔵庫ほどの温度になっていたことで、身体が冷えてしまったようです。体調管理には十分注意していたのですが、どうしようもありません。とにかく、頑張ることを止めて、休むことを心掛けました。
午前中に、ボリス先生と運転をしてくださる方が来てくださり、修道院のある教会へ向かいました。観光地であり、人々の心の支えの場であるのです。湖が一面に広がっていて、修道僧が修業をした場所のようです。大きい教会が二つありました。荘厳なロシア正教の趣をしているのです。イコンの壁画には、イエスキリストの肖像画が描かれていました。部屋の後ろ側の、お土産品販売している所に行きました。一番目についたのが、二つ折りのマリア像とイエス様の肖像画のイコンでした。それをボリス師範は、私の心を察してプレゼントしてくださったのです。この教会で一番大きいお土産のイコンの肖像画でした。
 修道院を出て帰る途中、食事をするのですが、思うように食事が喉を通らないのです。それでも、スープを口に入れて、食事としたのですが、夕方近くになるにつれ、熱が上がってしまうようでした。とにかく、休むことにしました。熱が上がるだけでなく、お腹の調子も良くないのです。キリキリとするし、下痢をしているようでトイレへ行きたいのです。なるべく早く、ホテルへ戻ってモスクワへ出発するまで休もうとしたのです。
 十八時にボリス師範が迎えに来てくださりました。ベッドから飛び起きて、カザン駅に向かうのです。その時、体温計で熱を測ったら三十八度あったのです。それでは、いくら頑強な私でも、フラフラするわけです。夕食のカフェに連れて行ってもらっても、食欲はありません。21時の寝台列車に乗ってモスクワに出発しました。楽しみにしていた寝台列車でしたが、結局は寝たきりでモスクワ駅に到着したのでした。
 寝台列車の中では、うなされていました。親父の事がまた思い出されるのです。私が、北陸地方を寝袋一つで旅をしていた頃、両親は、いつ帰って来るのかと思いめぐらしていたそうなのです。母の話では、障子の戸が風で音を出すと、私が帰ってきたのではないかと外に親父が出たそうです。もちろん、どこに行っても、両親に手紙を書いたり、電話をしたりしたので、安心しているはずなのですが、両親の思いは違っていたようでした。自分を見つめる旅に出かけたわけなので、そう簡単に家の敷居をまたぐ訳にはいかなという気持ちがありました。親父に迷惑をかけていることも、本当の意味で分からず歩んだ青春の門であったのです。