2014年9月4日(八段語録2103)

社会復帰


 少年刑務所を出所して、社会復帰をしようとする青年がいます。親が離婚していて、本人も離婚経験を持っているのです。私からは、自分の子供に恥ずかしくないように、努力しましょうと第一声でした。面接を保護司としてするのですが、社会から離れて生活をしたという事で、浦島太郎のような状態になっていました。もちろん、竜宮城ではなく、罪の清算をしてきたわけです。仮釈放の期間は、父親が引受人になっていますので、家を中心として、ハローワークに出向き、職業を決めていこうという事になっています。本人は、ある罪を犯したことによって、投獄されたわけですので、安易な道を行かないように、精神的な指導をしなければならないという事になりました。
 本人は、調理の仕事をしていたというので、車の免許も持っていないので、社会に出ていくためにも、職業訓練をしたいという要望を持っていました。そして、社会に慣れるために、街を出歩いたり、友達と食事をしたり、現状をどのように解決していくべきか考えるようになっているのです。私としては、本当に苦労が伴う事を覚悟して臨まなければ、行くべき道が開かないという話をしました。まず導入部分で、世間の厳しさを実感して、引き下がらないような歩みを心掛けるという基本的な話をさせていただきました。
 ところで、二週間程過ぎてから、状況を報告にやってきました。ハローワークに出かけ、家では、テレビを見たりしているという事でした。本人は、出所してきた開放感を感じてほっとしているようでした。一年三か月余りの期間、社会から離脱していたので、無理もない事であろうと話をしながら、しかし、焦らずに、少しずつ社会に慣れていくことが必要であることを強調したのです。まだ、若いので、どんな仕事をするのかというテーマを持って、資格を取得するなどして、長く続けていくことができるように指導をしたのです。
 これから、私としてできることは、しっかりと話を聞いていくという事になります。つまり、話を聞くという事は、本人を心から愛情でもって包み込むという事になります。そして、社会人としてのアドバイスを、私の経験を土台として話して、無理しない程度に、心の準備をさせ、実行してもらうという事になります。保護司として、本人を目の前にして、初来の道を切り開いて欲しいという願いと、正しく道を全うしてほしいという祈りを捧げるだけですが、心のケアーが、本人にとって、今必要な事であると実感するのでした。