2014年1月9日(八段語録1952)

指導者に告ぐ


 空手道を追求していくと、空手は孤児ではないかというほど、各派閥から容易に受け入れられていないのです。マスメデアで世を騒がせた極真空手ぐらいが、世間の評判になりました。極真空手を愛し、極真空手の主人公であった、大山総裁も、既にこの世にはいません。そのような意味では、所有者がいなくなったという思いがするのです。その後の、極真空手は、分派を繰り返し、身動きが取れない状態にあります。これからが、総裁に後継を継ぐもの、つまり、真の所有者が現れなければならないと思うのです。
 さて、人類は70億人を超えるようになってきています。陸地は狭く、生活が困難な時代に入ってきていることは間違いないことです。そして、人口の増加は、今までの歴史の十倍の速さで進行しています。一体どうなるのでしょうか。国土は混雑します。人口が増えるのですから、農耕面積は少なくなります。ここで、叫ばれるのは、人間としてもモラルという事になります。人と人とのヒューマンリレーションがうまくいかななければ、ならない時代なのです。そのような意味では、倫理道徳が高められて、世界中の人達との調和が保たれるのだと思うのです。もう闘争と略奪に明け暮れる時代は過ぎ去らせなければならないのです。
しかし、その絆を宗教に求めたら、大変な不幸が押し寄せます。キリスト教だ、イスラム教だ、地域の紛争が宗教戦争を呈しているのです。そのような意味では、ギスギスする世界で、青年たちの心を引くのは、武道でありたいと思うようになっています。世界に広がった極真会館の指導するところの極真空手が台頭するようにしなければならないと思うのです。もちろん、今後の世界はスポーツが盛んになると思うのです。それゆえに、自己の確立を願う精神修行は必要になってくるというのです。私達は、武道精神を研究し続けてきているのです。これは私達にとって極めて真剣な事でした。私達が思い描く将来はとても重要な意味を持っているのです。
 ちょっと次の事を考えてみましょう。世界の道場生は一千二百万人まで広がっているのです。さて、そのような道場生を擁している極真会館ですが、何年も修行して、数年間、鍛え上げた指導者はというならば、少ないのです。成熟した指導者は少ないのです。大抵、あらゆる経験を積んで指導者になれるには、最低でも十年はかかります。十分成長した指導者は多くの道場生を指導することができるのです。極真会館の指導者は口先ばかりではいけないわけです。実践を通じて表現しなければ、誰も認めるという事は無いのです。例えば、私のレベルでさえ、数百人の道場生を満足させるだけなのです。それでも百人の指導者が、このレベルまで到達すれば、数万人の道場生を満足させることができるという事になります。 
 それだから、指導者は、余す所なく、道場生の武道教育に専念すべきです。道場生の活用物になるべきです。そして、その指導力は極めて長持ちし、どんな道場生にも活用できるようにするのです。そのような意味では、何百人、何千人という指導者が必要であると思うのです。その指導者を育成するにあたって、養殖のように即席に成長させることはできないのです。囲いをして、その中に入れるという事はできません。極真会館宮城県本部全体で育てるのです。だから、自分だけで指導者を育てるという概念ではなく、今の指導者は、次に続く指導者を教育して、育てる方法を全体で開拓しなければならなくなるでしょう。