2011年7月28日(八段語録1391)

私と全国組織(61)ヨーロッパ審査会


 アラン副会長の指導が、海外の道場生に浸透してきたのです。午前中と午後の練習は、型に費やされるようになってきました。外国人からすると、型ができるという事は、魅力的な側面になるようです。十数年で、極真グループに型が浸透しているのも、外国を問わず、学びやすい事と、覚えるのに少し苦労するのですが、自分を型というワールドから表現できるからなのです。私の場合は、型には関心を示してこなかったようです。
 もちろん、副産物は、より明確になるのです。昇級、昇段におけるしっかりとした、レベルの変化をもたらすことが出来るのです。つまり、組手をメインにして、強さだけを追求するのではなく、美しさも同時にマスターしていこうという傾向に、多くの道場生の賛同を得ているという事なのです。指導者がレベルの高い型をマスターし、表現するならば、それなりのステータスは高くなるのです。
 ところで、型だけではない、極真の厳しさが展開された審査会という事になりました。武道空手を印象付ける審査会なのです。審査には、公平を期して、各国のブランチの責任者が立ち会いました。体育館なのですが、中央から仕切りを入れて、周りから遮断していました。一種独特の雰囲気を醸しているのです。その会場に審査を受ける道場生が入場という事になりました。
 会場の環境にも左右されているようで、緊張した趣で、審査に臨んでいるのです。日本から審査を受けにきた数納師範は、第一日目のランニングでのアクシデントがありましたが、果敢に審査に参加なのです。コンデションの良くない状態でも、その真剣さは会場のブランチの責任者の喝采を浴びるのです。つまり、取り組む姿勢が素晴らしかったのです。
 夜の八時半から行われた審査会は、四時間に及びました。実に日本の二倍の長さです。それも、はじめからハードな修練内容でした。40分に渡り、基礎とレーニングの体力勝負の補強運動が続いたのです。全員足腰が立たないくらいの運動量なのです。スクワット、腕立て、腹筋が、波状的に休む暇なく襲いかかってきました。それでも、修練生は、一生懸命であり、真剣そのものなのです。
 次に、私の指導による基本と移動の審査に入りました。時間にすると一時間と少しでしたが、呼吸を整えてもらいながら、突きが三十本、蹴りは、三本蹴り、五本蹴りを導入して長い時間になりましたが、真剣に取り組んで貰ったのです。アラン副会長との打ち合わせを、そのまま実践した形になったのです。当然筋力トレーニングで疲れを見せていた、修練生でしたので、呼吸法を取り入れたり、黙想の時間を入れたり、かなり肉体の休憩と精神統一に時間をかけたのでした。
 さらに、型の審査という事になります。この審査は一人ひとりが、各ブランチの責任者の注目を浴びるという審査内容です。緊張感が最高潮に上り詰めるので、型のミステイクが目立ちました。それでも、修練した内容だけは的確に表現できていたのです。この型に関しては、アラン副会長の思い入れが特にあるので、段のレベルにあった型を、相当試されたことになったのです。選手系の修練生にとっては、鬼門であり、通過しなければ、昇段はないという厳しいものがありました。
 そして、最後に組手の審査という事になりました。日本のような一人10人、あるいは二十人組手という方式ではなく、柔道でいう乱取のような全員がぶつかるという稽古でした。ある意味では精神的には楽なのですが、相手が10人を過ぎる状態から、疲労度はピークになります。それでも、組手には、極真空手の神髄が通っているようで、真剣な眼差しの中にも楽しんでいる様子でした。
 審査会が終了したのは、十二時を回っていましたので、誰もが疲労の頂点なのです。試験を受けた修練生には、充実感と満足感がにじみ出ていました。これが、手塚グループの最後の歓喜溢れる臨場感であると思えたのでした。サマーキャンプは、審査会に全て集約されていくのです。
 このサマーキャンプは、全国の師範が、参加すべきであるという感想を持ちました。それは、国際空手道連盟であり、極真会館だからなのです。個人から家庭そして日本を越えて世界を股にかけるのです。グローバルスタンダードの自分を確立しようというのが狙いという事になります。ますます、手塚会長を頂点として、経済的にも、人材的にも一体化を前提に推し進めていこうとするこのグループに幸あれと願ったのでした。