2013年12月30日(八段語録1942)

指導者に告ぐ(47)


 私は、指導者の皆さん全員に、生涯プロの空手家になって欲しいとは思っていません。しかし、指導者には、極真空手の分野において、指導の力をもたらすことのできるような生活を味わい、専門家になって欲しいのです。二十年も前に、仙台に帰ってきたのですが、今でこそ、宮城県本部を構えていますが、誰もそのような事を考えてはいませんでした。しかし、安斎師範が、一番町に仙台道場に道場が進出すると、その道場の師範代になって、仙台をひっくり返し、それから、この地に極真の伝統を立てようとしたのでした。
 私は、決意しました。当時、誰も仙台市内で、大きな道場を構えている流派は無かったのです。伝統空手でさえ、地方中心の拠点だったのです。そのような意味では、他と違った第一歩という事です。私が持っている高い理想の思いと、使命を抱いてこの仙台で活動する人は、いまだかつていないだろうという信念で歩んだのです。そして、この仙台を極真の伝統で満たそうと思って、上陸したことになるのです。伊達政宗のように、仙台は私の領域だという信念です。そして、どんな状況でも一生懸命に版図を広げようと思ったのでした。そして、どのようにすべきか、自分で考えなければならなかったのも事実だったのです。
 ところで、現在私は、仙台接骨医療専門学校に通っているのです。もう既に、二年生になっています。その学校での卒業生は毎年50名程になります。そのほか仙台には、三つの専門学校があるのです。ざっと二百名の卒業生という事になります。要するに柔道整復師を目指す学校なのですが、もちろん、国家資格なのです。全国では、最近では五千名の国家資格者を輩出するのです。この資格は、どの医療分野の資格とも違って、医師の指示の下に組織的に動く資格ではないのです。つまり、一国一城の主として、院長となれるわけです。それは実に魅力的なのですが、毎年五千名の単位で排出されますから、需要よりも供給が多くて、同業種で過当競争になるのは必須です。つまり、仕事にありつけなくなってしまう状況になってしまうのは目に見えているのです。そのような状態を改善すべく、インター制度とか、しっかりした教育体制を構築して、柔道整復師が権威あるものとしての制度にすべきではないかという事を思ってしまうのです。
 とりわけ、何を言いたいのかというならば、上記で示した柔道整復師とは違って、空手を習わせたいという家庭が多いにもかかわらず、指導者は少ないのです。また、人材の大量排出という事もないのです。そして、当然、習わせたい家庭は、指導者の質を見るのです。私の道場は専門学校とは違いますが、しっかりとした民間の指導者としての資格を与えますし、教育制度も充実しているのです。国の援助は受けなくても、社会貢献には有効であり、実に極真会館というだけで、独占のようなメジャーな影響力を持っているのです。やはり、極真の道を選択して良かったという実感です。もちろん、実力を問われます。