2011年4月9日(八段語録1278)

復興への出発(9)

 都市ガスがまだ復旧していないので、お風呂に入れないのです。もう一カ月近く家の風呂に入ることはできない状況が続いていました。そこで、今日は、秋保温泉に家族で行くという事になりました。聖義の嫁の茂名さんを同乗させて、合計6人で出発です。
 子供たちが小さなころ、道場の稽古を終えてから健康ランドのお風呂によく行ったものです。その頃より大きな成長した子供たちと、妻を乗せて出発です。各自がアイポッドで音楽を聴いていたり、窓の外を見ながら物想いに耽ったりして、子供の頃の昔と違った車内の雰囲気です。
運転しながら、私は何か刺激が欲しくなったのでした。4月になって新しく新学期が始まるので、子供たちの新年度の決意を聞こうという事になったのです。車中の中で今年度にかける気持ちを確かめたいという親心なのです。
文誉がトップバッターでした。一年間精神的な疲れで一年を棒に振っていましたから、勢いよく頑張るという決意の内容でした。アメリカに行って世界が広がったようで、大学に行く意義を更に深めたようでした。
茂奈さんは、私の妻の手伝いをしてもらいたくて、料理学校へ行ってくれと話したのですが、納得していませんでした。日本にきて、保育士の仕事がしたいという希望を持っていたので私の発言に戸惑っていました。それでも、私から保育士の学校へ行けるように勉強しましょうという提案があったので、顔も笑顔になっていました。
順香は、何か迷っているようでした。最後まで今年度の目標も口にする事なく、ただ黙っていました。二十歳位になると心の奥底で悩みがあるのだと静かに時の過ぎるのを待っていました。最後まで何も語ることなく終わったのですが、言葉に無い何かを私に伝えたのだという事なのです。
最後は聖義です。仙台接骨専門学校の二年生を二度も繰り返したので、済まないという心遣いもありましたが、三年生になって、最終学年でもあるし、卒業と同時に国家試験があるので、それなりに気合の入った話をしていました。目標に向かって一年を歩みきるという事なのです。その原動力が聖義の嫁さんである事は間違いない事です。
妻は、子供たちに配慮しながら、助手席に乗りながら聞き入っていました。車内は家族の穏やかな時間を演出していました。私も運転しながら、ここまで子育てを達成したのかと充実感が溢れるのです。それだけでなく、ここまで子供たちを見守る時間を、神様は与えてくれたのだと感謝の気持ちになるのです。
今日は温泉に入って、気持ちもすっきりさせました。家族とのひと時は、私達夫婦にとって掛替えのない、安らかな時間の流れでした。いつまでも同じ時は続かないものです。更に心を深めて、明日に向かう決意を固めていました。