2011年4月3日(八段語録1272)

復興への出発(3)

 時の過ぎるのは早いものです。広島の宮城師範から調子のよくない声が電話から聞こえてきます。東京にきて帰りの高速バスを待つ時に冷えたようで、稽古ができる身体ではないのです。昨日もひどい声でした。今日もあまり変わっていないのです。そこで、私の回復法の伝授です。
 平日であろうが日曜祝日であろうが、医者へ直行なのです。そこで、薬を貰うのではなく、点滴を打ってもらうのです。それも、調子の悪い時は何日も続けていくべきであると指導するのです。人間、生ものですから、体不調の時があります。これは私の経験上なのですが、医者に走って点滴を打ってもらうという事なのです。それで私は乗り越えてきました。
 これは、袋原内科の熊谷院長の指導なのです。師範として道場を出発させたころ、やはり宮城師範のように何ヶ月かに一度、袋原内科のベットに横たわっていました。数日続けると元の元気な身体に戻っているのです。この繰り返しをしている内に、身体は稽古指導に慣れてきて身体が丈夫になるのです。
 もう私達の年代になると、回復力が青年時代とは大分違うようです。その点を考えると、点滴で老廃物を排泄して、水分を循環させ、回復を待つのが一番良いような気がします。疲れが溜まっているのです。それをしっかりクリーニングして新鮮な状態に戻すという作戦なのです。その事を指導する事になりましたが、よくなってくれる事を信じて、広島に思いを馳せるのです。
 ところで、極真の精神とは、訓戒、説教だけではないのです。あくまでも稽古における実践なのです。それ故に、師範は大変なのです。実践の中から指導のなんたるかという事を学ぶのです。一番考えなければならないのは、その場に立って道場生に全身全霊焦点を当てなければならないのです。そして、教育という成果を上げなければならない事になります。極真の精神は、目線を高くもって魂から指導する事にあるのです。
 第二に、極真の精神は、トラブルを広げようとするのではなく、その事を機会とすべきなのです。今回の大震災はその最たるものです。これをどのように機会として捉えて最高の成果を上げるかという事を責任者は求めなければならないのです。
 第三に、極真の精神と信条と価値観に合せて、指導しなければならないという事になります。指導者が人と物を動かす時に、この理念に自分が叶って行動しているかという事を問わなければならないのです。
 第四に、人と物を動かす時に、指導者として心得ていかなければならないのは、誠実な人格を第一として取り組まなければならないのです。どの能力よりも、誠実な人格が最高の資質なのです。その人格を示し続けていく事が極真精神という事になります。