本部長通信93  2008年2月16日

正座の姿勢

 師範は、道場生に正座の姿勢を訴えるのです。今回は8つの分野に分けて説明していきます。大前提として一番に心の姿勢を訴えるのであります。極真空手は「真」を求めていきます。つまり真実の追求であります。道場の環境はすでに、空手を修練するよう導くことができる環境にあります。心の姿勢が一番大事であることは間違いありません。

 第二に、正座する心構えです。稽古が始まる前の正座は、謙虚な姿を自分に見出すことなのです。座った瞬間どれほど極真魂が座った場所から感じることができるかです。極真空手との接点が正座から始まるのです。道場に来て、正座して稽古の準備をしているときにどれほどの力強さを感じるかで極真空手から受ける力強いエネルギーを感じるようになるのです。

 第三に、足についての指導です。正座しているときは、足の親指を交差させて座ります。足の親指を交差させただけで、私たちの脳がこの道場での稽古を受け入れていこうとする微細なイメージを伝達してくれるのです。これは私たちが稽古をするという心をより深める時間に入るということをイメージできるのです。すなわち自から喚起させることにつながります。昔の町人のように足の甲を交差するのではありません。まして、賭博の壺ふりのように、すねを交差させるのでもありません。

 第四に、手についての指導です。股関節の付け根の上に手を拳にして柔らかく下ろします。手のひらを指で優しく包むようにして拳立てするような方向で置きます。特別な手の姿勢を作る必要はありませんが、自然に股関節の付け根の上に置きます。

 第五に、背中です。背中はまっすぐにします。しかし、後ろ向きに傾けすぎないようにします。稽古を始めるときですので、不動の姿勢として自分が感じられなければならないのです。背中はその人の内面の人格の名誉と威厳を表します。傲慢にならないように、弱弱しくならないように、武人としての姿勢を維持しなければなりません。背中をまっすぐにすれば心が整えられ、気持が緩慢にならず、稽古を控えて緊張した状態に置かれます。さらに、脊髄をまっすぐにのばすことになるので、腹式呼吸がしやすく、体内の酸素をどうかさせ、脳と全身にわたって血液循環を良くします。

 第六に、頭です。頭は同然奢り高ぶったように上に挙げてはならないのです。少し顎を引いて、頭は自然にちょっと斜め下向き加減になります。頭と首が、まっすぐ伸ばした背中と一直線になるように注意します。頭を中心に姿勢をまっすぐ座ることで、威厳をもつようになり、極真空手を学ぶにあたり、極真空手を尊重する姿勢が表れるのです。

 第七に、目です。心にイメージトレーニングをする場合は、集中力を高めるために目を閉じなければなりませんが、武士道としては、うす目を開けて絶えず敵の攻撃に備えなければなりません。

 第八に、口です。口は閉じ、下の歯と上の歯がつかないようにします。あごも力を入れずに噛まないようにします。心の緊張と興奮を防ぎます。上の歯と下の歯の間に空間を作ります。舌は、事前に上の歯の後ろ側に置きます。これは唾液が過度に溜まるのを防ぎまた、唇をしっかり閉じることができるように作用してくれます。

 師範としては、正座をしっかりマスターできるようにと思い、わかっていることではありますが、敢えて文章にしました。