本部長通信51  2007年6月5日(火)

覚醒剤


平成19年度薬物乱用防止指導員の研修会が開かれました。最近の薬物情勢等について、東北厚生局麻薬取締部、情報官の中内正人氏の説明を受けました。私も宮城県薬物乱用防止の啓発キャンペーンに参加して指導員としての活動を行ってきました。青少年問題を扱っている師範としては、あらゆる局面から子供達を守りたいとの動機でした。今日薬物乱用の問題は青少年に広がりを見せています。この薬物は、人間の生命はもとより、社会や国家の安全を脅かすものであり、最も深刻な社会問題の一つになっています。忍び寄る薬物乱用の誘惑に負けない青少年の意識啓蒙を積極的に推進し、良き社会を作ろうと指導しているわけです。
この薬物乱用とは、遊び目的や気分・感覚を変えるために、覚醒剤やシンナーなどの薬物(ドラック)を使用することをいいます。たとえ、一回使用しただけでも乱用になります。薬物乱用はいったん始めると止められなくなります。依存性の強い薬物は、一度でも乱用すると元に戻らなくなります。薬物の効果が切れるとまた薬物が欲しくなって自分の意思が効かなくなり、さらに薬物への要求は激しくなって強迫的な使用へとつながっていきます。薬物によってはさらに身体的依存への悪循環となり、深みにはまります。こうして、自分の意思では薬物使用のコントロールがきかなくなった薬物依存の状態へと移行していきます。
私たち武道を志すものは、絶対このような覚醒剤に手を出してはならないと決意すべきです。武道精神に一致させることで、乗り越えることができるのです。自分の精神と肉体が武士道を中心として一致させることの重要性を感じてください。精神と肉体が分かれた場合に隙が出ます。特に肉体の欲求に負けた場合には、覚醒剤の虜となる条件が自然に打ち立ってしまいます。精神と肉体が思うように操縦できない状況は青少年時代に特に生じます。
道場では、練習が終わった後のビールのいっぱいが美味しいなどとは、指導しません。なぜならば、アルコールという依存症もかなりの確率で生まれてきています。アルコールも薬物になる可能性は大きいのです。師範が道場生に話す言葉として、「アルコールに酔うのではなく愛に酔え」と話します。さらに、タバコであります。今は禁煙ということが当たり前になってきていますが、タバコの害と依存症も問題になります。これも、師範は、道場生に「タバコの煙を味わうのではなく、愛の雰囲気を味わえ」と話します。もう少し突っ込んで話すと師範の品性がなくなるのですが、依存症にかかっている人たちに「アルコールはサタンのしょんべん・タバコはサタンのへだよ、そんなもの、飲んだり吸ったりして何がいいの」と話します。実に物質的刺激は一時的なものです。
それでは、師範は薬物防止指導員としてどう指導しようとしているのかであります。武道精神を高め、肉体を屈服させよと道場生に指示を出すのです。今子供達が学んでいる武道精神は奥が深いものです。道場での稽古をすることによって、積み上げてきた精神文化を引き継ぐのです。それによって、肉体の管理がより充実してくるのです。だから、精神と肉体を強固なまでに磨き上げ、自分を治め、家族と調和し、社会に貢献できる道場生と変身させようとするのです。